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レポート

2014/1/7

新ガイドラインの改訂ポイントと最新治療、パープルリボンセミナー東京2013より

最新の知見が盛り込まれた膵がん診療ガイドライン

福島安紀=医療ライター

 「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」が2013年10月、4年ぶりに改訂された。新たに示されたエビデンスが反映され、また改訂時点では見込みだった新しい治療(2013年12月に承認された)が盛り込まれるなど、薬物治療を中心に大きく変化している。患者支援団体のNPO法人パンキャンジャパンが2013年10月に東京都内で開催した「パープルリボンセミナー東京2013―膵臓がんの最先端医療をひもとく―」では膵癌診療ガイドライン改訂委員会副委員長で国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科科長の奥坂拓志氏らが、最先端の膵がん治療について講演した。


国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科長の奥坂拓志氏

 「2013年版のガイドラインで前回(2009年版)と比べて大きく変わったところは、再発予防のための術後補助化学療法です。これまではゲムシタビンを用いた術後補助化学療法を推奨していましたが、今回内服の抗がん剤であるS-1が推奨される形になりました」

「膵癌診療ガイドライン2013のハイライト」と題して講演した国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科長の奥坂拓志氏は強調した。
 
この変更は、今年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された日本の多施設共同臨床試験(JASPAC 01試験)の結果を受けたもの。2年生存率は、従来のゲムシタビン単独療法群(ゲムシタビン1000mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与。4週間で1コースとし6カ月間繰り返す)が53%だったのに対し、S-1単独療法群(40-60mgを1日2回4週間投与、2週間休薬を1コースとして4コース繰り返す)が70%だった。S-1を使った術後補助化学療法は、ゲムシタビン単独療法と比べて、死亡リスクを46%減らすことが示された。そのため、術後補助化学療法のレジメンとして、S-1単独療法がグレードA(強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる)で推奨されることとなった。なお、S-1への忍容性が低い症例などに対してはゲムシタビン単独療法が勧められている。

 一方、臨床試験の結果によって、推奨グレードがC1(科学的根拠はないが、行うよう勧められる)からC2(科学的根拠がなく、行わないよう勧められる)に変更されたものとして紹介したのは、膵がんの術中放射線療法だ。「かつては多くの病院で実施されていましたが、日本で行われたランダム化比較試験では術中放射線療法の有効性が認められませんでした」(奥坂氏)

 また、局所進行していて切除不能の膵がんや転移病変に推奨される1次化学療法は、従来ゲムシタビン単独療法のみだったが、2013年版では次の3つの選択肢を提示した。

・ゲムシタビン単独療法
・ゲムシタビン+エルロチニブ併用療法
・S-1単独療法

 支持療法については、これまでは転移・再発切除不能の人に対して行うとしていたが、今改訂で削除し、「診断初期から疼痛・消化吸収障害・(膵性)糖尿病・不安などに対する支持療法が必要となる」と変更し、全ての膵がん患者が対象であることを記載したことなどを紹介した。

膵癌治療のアルゴリズム(膵癌診療ガイドライン2013年版より改変)

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