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2013/12/10

注目集める新しい“免疫療法”

加藤勇治

 こうした中、注目されているのが、抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体です。PD-1とは、免疫抑制受容体とも呼ばれています。

 体内に存在する免疫系は、微生物やウイルス、あるいはがん細胞など、さまざまな異物を排除するために有効なシステムですが、免疫系が働きすぎると自らの細胞まで攻撃してしまい、自己免疫疾患を引き起こしてしまいます。

 そこで、免疫系の働きを抑制する作用を持つPD-1が働き、免疫系が活性化しすぎるのを抑えています。我々の身体の中では、免疫系の活性化と抑制が絶妙なバランスで成り立っているのです。

 しかし、あるタイプのがんにおいては、PD-L1という分子を発現しています。これはPD-1に働きかけて免疫系を抑制するもので、いわば「攻撃対象ではないですよ」と免疫系に教えている分子です。そのため、PD-1系が働き、がん細胞に対して攻撃が行われないようにしているのです。

 こうした機序が明らかになったことから、PD-1やPD-L1に対する抗体医薬の開発が進められています。

 今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)では、この抗PD-1抗体の1つであるnivolumab(ニボルマブ)のフェーズ1試験の長期追跡結果が報告されましたが、この結果を見て、私は「やはり腎細胞がんには免疫系が強く関与している」と再認識しました。

 このフェーズ1試験では、既に2つ以上の治療を受けている患者さんが8割を占めていましたが、こうしたグループにおいても大きく腫瘍が縮小していたり、増殖が抑制されていたりするなど、多くの患者さんで治療に対して何らかの反応が認められています。

 こうした抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体について、現在、世界中で開発が進められています。この新しいタイプの薬剤がどこまで予後を改善するのか、またどんな副作用がどの程度見られるのかは臨床試験の結果を待たなければいけませんが、新しい機序の薬剤でどんな結果が得られるのか、注目しています。

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