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レポート

2013/10/29

がん検診で女性も積極的に自分の健康管理を

福島安紀=医療ライター

 ただ、子宮体がん、卵巣がんの早期発見法については、国内外で研究が進んでいるものの決定打がないのが実情だ。

 ここで宮城氏は、現在、人間ドックなどのときに自費(保険外診療)で実施されているAICS(アミノインデックス・がんリスクスクリーニング)を紹介した。

 味の素が開発したAICSは、血液検査で血漿中にある20種類のアミノ酸濃度のバランスをみることで、婦人科がん、乳がん、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんになっているリスクを調べる新しいスクリーニング検査法だ。あくまでがんになっている危険性を示すもので、ランクA〜Cの3段階で判定され、ランクCなら各がんの精密検査が必要とされる。

 婦人科がんである子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんについてはがん種ごとのリスク判定ではなく、ランクCであれば、3種類のがんのどれかにかかっている危険性を示す。

 宮城氏らの研究では、婦人科がんに対するAICSの感度は特異度80%に設定した場合69〜88%、特異度95%なら45〜77%(図3)。特異度とは健康な人を健康と判定する確率のことで、特異度が高いほど、がんでないのにがんと判定してしまう「偽陽性率」が低い。特異度と感度のどちらも高い場合、その検査法の精度は高いことになる。

図3 AICSの感度(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)
(宮城悦子氏他「人間ドック」26(5):749-55(2012)改変、
図をクリックすると拡大します)

 「現在、婦人科がんの診断に使われる腫瘍マーカーは、がんが非常に早期だと数値が上がらないことがありますが、AICSはステージI期の早期がんにも高い感度を示す点が注目されます。特に、子宮体がんに対しては、婦人科がんの腫瘍マーカーとして保険診療で使われているCA125と比べても感度が高いという結果が出ました(図4)。卵巣がんでは統計学的にほぼ同等ですが、私たちの研究ではCA125で陰性と評価された卵巣がん患者においてAICSで陽性と判定されるケースがあることが分かっています(図5)。子宮頸がんについては、20歳以上の女性はぜひ、2年に1度子宮頸がん検診を受けていただきたいですが、がん検診とともにAICSを上手に活用することで、婦人科がんの死亡率が下がっていくのではないでしょうか」と宮城氏。

図4 子宮体がんにおけるAICSと
腫瘍マーカー(CA125)の感度の比較(特異度95%の場合)
(宮城悦子氏他「人間ドック」26(5):749-55(2012)改変)

図5 卵巣がんにおけるAICSと
腫瘍マーカー(CA125)の感度の比較(特異度95%の場合)
(宮城悦子氏他「人間ドック」26(5):749-55(2012)改変)

 一方、子宮頸がんに対するAICSの感度は子宮体がん、卵巣がんに比べて低いものの、がん検診の際に行われる子宮頸部細胞診では見落とされやすい腺がんに対する感度が高い。子宮頸がんの7割は扁平上皮がんだが、2〜3割を占める腺がんは予後が悪い傾向があり、早期発見が課題となっており、AICSへの期待が高まっている。

 AICSは2012年5月から実用化され、希望者は676カ所(2013年9月現在)の医療機関に行けば検査が受けられる。ただし、この検査は保険診療の対象ではないため自費診療となり、費用は医療機関により異なる。5mLの血液検査で2〜5種類のがんにかかっている危険性を一度に判定できるのが特徴とされ、女性AICS5種(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、婦人科がん)、男性AICS4種(胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん)で2万円前後、女性AICS2種(乳がん、婦人科がん)で1万円前後という。

 「AICSについては非常に有望だと考えていますが、AICSはがんであるかどうかを確定するものではありません。あくまでがんがあるかどうかのリスクを調べるものですし、まだまだ研究しなければいけない点があります。一方、科学的根拠が確立しているがん検診については、中野氏も話されたとおり、自治体や企業などの補助により少ない費用負担で受けることができます。ともかくがん検診を受けていただくことが重要です。また、がん体験者の方も、ほかのがんになる危険性があるので、がん検診は定期的に受けていただきたいと思いますし、ご家族や周囲の方にがん検診を勧めてください」と宮城氏は話す。

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