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2013/8/27

国立がん研究センターが「がん患者の外見の悩みに正面から取り組む」

福原麻希=医療ジャーナリスト

 がん治療では、脱毛、顔の赤み、皮膚の湿疹、身体のむくみなど、外見の変化や症状が伴うことがあり、悩む人は多い。国立がん研究センター中央病院では、こうした悩みに関する情報提供や相談などの支援を行うため、今年度「アピアランス支援センター」を新設。7月からプログラムや相談支援をスタートさせた。


治療による外見の変化に戸惑う声は多い

 「アピアランス」(appearance)とは、顔つき・容貌・印象を意味する。癌の手術、薬物療法、放射線治療によって身体の変化や症状が現れることで、仕事や学校への影響を懸念したり、生活スタイルの変更を余儀なくされたりすることがある。

 「身体の痛みよりも、外見の変化のほうが患者に苦痛をもたらす」ことは、次の調査結果にも示されている。

 アピアランス支援センター長で臨床心理士の野澤桂子氏が「治療に伴う身体症状の苦痛トップ20」を調査したところ、特に乳がん・婦人科がんの患者の場合、回答項目の6割に当たる12項目が「治療に伴う身体症状の苦痛」として挙げられた。

▽乳がんの場合…脱毛、手術による乳房切除、眉毛・まつ毛・髪の毛の脱毛、手術による身体の表面の傷、手の爪の割れ、手の爪の二枚爪、足の爪のはがれ、足のむくみ、手の爪のはがれ、顔のむくみ。

▽婦人科がんの場合…前述の項目のほか、身体に管がついた、指のむくみ、皮膚の湿疹、しみ・くま、顔全体の変色、足の爪の割れなど。

 こうした外見の変化に基づく苦痛は性別を問わず共通で、消化器がん・肺がん・血液がん患者の場合も、足や顔のむくみ、皮膚の湿疹のほか、ストーマ、腕の注射の痕、声がうまく出ないなどの悩みを抱えていると回答した。

 この調査結果から、「外見の変化は病気や死の象徴として、常に患者に病気を意識させる」ことが分かった。さらに、男女とも「仕事の時には、以前の姿でいることを重視する」と答え、ほぼ全員が外見の支援を希望していた。

アピアランス支援センター長・野澤桂子氏(臨床心理士)

 野澤氏はこう言う。「外見は社会との接点です。このため、外見が整うと、子どもも大人も諦めていたことができるようになります。自分らしく生活できるかもしれないと、前向きな意欲が出てくるからです」

 全国の医療機関のうち9割の施設が、外見に関する支援に取り組んできたという。例えば、脱毛時(髪の毛・眉毛・まつ毛)の対応、スキンケア、爪や頭皮のケアなどが多い。

 だが、各医療機関からは「正確な情報を伝えたいが、エビデンスが乏しい。インターネット上には玉石混交の情報が氾濫している」という問題点も指摘されている。このため、国立がん研究センターではアピアランス支援センターの取り組みを通して、信頼できる情報を選別し、発信していく役割を果たしていくという。



アピアランス支援センターのチームスタッフ

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