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2013/7/2

がんと生殖機能温存 vol.3

精巣がん、膀胱がん、小児がんの治療による不妊への対処法

福島安紀=医療ライター

造精障害の患者の精子回収率は抗がん剤の量や期間とは無関係

 ただ、精巣がんでは、化学療法後2年以上経っても造精機能障害が続くケースがある。無精子症の男性は、そうでない人に比べて精巣がんになるリスクが高いことが分かっており、本人が自覚しているかどうかに関わらず、がんになる前から無精子症だった人もいる。

 「事前に無精子症であることが分かっているときには、がんの手術で摘出した精巣を顕微鏡で見て、腫瘍のない部分から精子を取って凍結保存することもあります。凍結保存をしていない人で化学療法後に無精子症が続いた場合でも、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)という方法で精子が1個でも採取できれば、パートナーの卵子と受精させることで妊娠・出産する可能性が残されています」(岡田氏)

 MD-TESEは、全身麻酔をし、顕微鏡で精巣内をくまなく観察し、精子が存在している組織である精細管を採取する治療法だ。獨協医科大学越谷病院で精巣がんの化学療法後に造精機能障害が続き、MD-TESEを受けた21例を検討したところ、精子が回収できたのは11例(52.4%)、パートナーが無事出産したのは6例(28.6%)だった。この21人の年齢中央値は32歳(19〜44歳)で、化学療法終了から1〜22年(中央値5年)が経過していた。精子が回収できるかどうかは、抗がん剤の使用量や治療終了からの期間とは無関係だったという。

 膀胱全摘除術を受けて造精障害になった患者でも、MD-TESEで精子を採取できる場合がある。膀胱がんは60歳代以上の人に多く見られるが、50歳以下で発症するケースもある。手術の前に精子の凍結保存をしていれば子供を授かる可能性は高いが、そういった処置を行っていなかったとしてもまだ可能性は残っているといえる。

 さらに、岡田さんらのグループは、精巣を凍結保存し、がんの治療後それを元の場所などへ移植することで生殖機能を温存できるかについて研究を続けている。現在は動物実験を行い、ヒトへの臨床応用の可能性を探っている段階という。「小児がんなどまだ生殖年齢に達していない患者の場合は、治療前に精子を凍結保存することができません。精巣を凍結保存し、それを移植するという方法を是非確立したい」と岡田氏は話す。

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