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2013/7/2

がんと生殖機能温存 vol.3

精巣がん、膀胱がん、小児がんの治療による不妊への対処法

福島安紀=医療ライター

 男性の場合、精巣がんや膀胱がんの治療によって、子どもができにくくなる場合がある。また、小児がん患者の中には、成人してから晩期合併症として不妊に悩まされるケースも。NPO法人日本がん・生殖医療研究会が4月21日に開催したシンポジウムでは、泌尿器がんについて獨協医科大学越谷病院泌尿器科教授の岡田弘氏が、小児がんと生殖の問題につては大阪大学大学院医学研究科小児科学助教の三善陽子氏が発表した。


獨協医科大学越谷病院泌尿器科教授の岡田弘氏

 「泌尿器系のがんで生殖機能の温存を考える必要があるのは、精巣(睾丸)がんと膀胱がんです。まず精巣がんは1〜2歳と、生殖年齢である20〜40歳、それから60歳以上に発生しやすいのが特徴です。ほとんどがリンパ節や他の臓器に転移していない状態で発見されるため、ほぼ100%治りますが、治療内容によっては、性機能障害や無精子症(造精障害)になる危険性があります」と獨協医科大学越谷病院泌尿器科教授の岡田弘氏は指摘する。


性機能障害、造精障害でも不妊治療で子供が授かる可能性あり

 精巣がんの治療は、2つある精巣のうち腫瘍のある側を摘出する手術のみで終了する場合があるものの、手術に化学療法または放射線療法を組み合わせるのが標準的だ。性機能障害が起こってしまうのは、手術の際に射精、勃起に関わる神経を損傷したときだ。がんの進行度によっては、性機能の損傷が避けられない場合があるのだ。これらの神経を損傷すると、勃起不全に陥ったり、勃起はしても精液が放出できなくなったり、精液が膀胱側に戻ってしまう逆行性射精といった状態になる。また、化学療法を受けたときには一時的に造精機能障害(無精子症)になる危険性が高い。

 一方、膀胱がんの治療で性機能障害になるのは、がんが膀胱粘膜の表面だけでなく筋層まで広がっていて、膀胱を全て摘出する手術が必要になったときだ。膀胱全摘除術は膀胱と合わせて前立腺、精嚢、精管まで切除するのが標準的で、手術後には性行為はできても射精はできず生殖機能は失われる。

 「精巣がん、膀胱がんの患者で、治療後に子供が欲しいと考えている人は、治療が始まる前にそのことを担当医に伝え、もしも性機能障害、造精機能障害になる恐れがあるなら事前に精子を取って凍結保存する方法を検討するとよいと思います。例えば、精巣がんで化学療法を受ける人は、治療後2年ぐらいで精液中に精子がみられるようになるケースが多いのですが、化学療法後の精子では受精しても流産率が高い傾向が認められています。できれば化学療法を受ける前に精子凍結保存をしておいたほうがいいでしょう」と岡田氏は強調する。

 しかし、治療前には、患者、家族や担当医が精子凍結保存まで考えが及ばないケースも多い。では、精子保存をしなかった人が精液の放出障害や逆行性射精になったときにはどうしたらよいのだろうか。

 「造精機能に問題がないケースにおいては、精液がうまく放出できなくても、精子を回収できさえすれば、顕微受精ができる可能性が高い。男性不妊症の治療を行っている医療機関で相談してみるとよいでしょう」と岡田氏。


泌尿器がんの治療による生殖障害の種類

●性機能障害
手術で勃起・射精に関連する神経を損傷したことによって起こる。症状には、勃起不全、逆行性射精、放出障害などがある。
●造精機能障害
化学療法や精嚢、精管の切除によって精子を作る機能が障害され、一時的あるいは半永久的に乏精子症、無精子症になること。

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