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2013/6/18

外来がん薬物療法時の発熱性好中球減少症

がん薬物療法開始7〜14日くらいに1回でも発熱したら主治医に速やかに連絡を

満武里奈=日経メディカル別冊

好発時期はがん薬物療法開始から7〜14日後

 しかも、がん薬物療法中は骨髄抑制が起こり正常な免疫反応が得られにくいため、通常の感染症と比べて、喉が赤くなったり、熱が出たりといった通常の炎症反応が現れにくく、臨床所見が見られる頃には重篤になっていることがある。そのほか、経過が早い、通常の感染症では見られない部位に感染症が発生する、普段では感染症になりにくいまれな微生物による感染症が起こってしまう―などの特徴がある。「FNの場合は、正常な炎症反応を起こす好中球が少ないため、生体内での防御反応がしっかりと起きず、炎症による特徴的な画像所見なども見られない。そのため、注意深く観察しないと見逃す恐れもある」と相羽氏は説明する。

 FNの発症頻度は治療レジメンによって異なるが、FNになり感染症にかかった場合には致死率が20%を超えるものがある。外来で実施するがん薬物療法でFNを発症しやすいレジメンには、乳がん患者へのAT療法(アドリアマイシン+ドセタキセル併用療法)、ドセタキセル単剤療法、FEC療法、TC療法、TAC療法や、非小細胞肺がん患者へのパラプラチン+ドセタキセル療法、非ホジキンリンパ種へのR-CHOP療法などがある。

 FNを発症するリスクが高い時期は、好中球数が最も低くなり免疫力が低下するときで、多くはがん薬物療法開始からおよそ14日前後だ。ドセタキセルを使用したレジメンの場合は若干早く、およそ9日後に好中球数は最低値となる。

 入院してがん薬物療法を実施した際にFNが発症した場合は、医療者による定期的なチェックが行われるため、速やかに診断され治療が行われる。しかし、外来がん薬物療法中は自宅でFNが発症することになるため、患者本人や家族がその症状に気付き、主治医にすぐに連絡することがとても重要となる。

たった一度でも発熱したら病院に連絡を

 では、どのような症状が出たときに病院に連絡すればよいのだろうか。相羽氏は、FNが発症しやすいがん薬物療法開始14日後付近(ドセタキセルを使用したレジメンでは9日目付近)が要注意であるが、個人差もあるので治療開始7〜14日後くらいで、下記3つの症状のいずれかが出現した場合は、受療中の病院に連絡するか、救急外来を受診するようアドバイスする(●表1)。重要なことは、たった一度でも発熱したらすぐ病院に連絡し、主治医の指示を仰ぐことだ。「30分後に改めて測定して37.5度以下に下がっていたとしても必ず連絡が必要。体温は上がったり下がったりと変化し続けるものなので、一度でも腋窩温が37.5度以上であればFNを疑わないといけない」と相羽氏は強調する。

 また、発熱しなくとも普段感じたことのない強い倦怠感や体調不良を感じた場合や、咽頭痛、咳嗽、頻尿・排尿痛、背部痛、頭痛などの症状が出たときもFNが疑われる。「白血球(好中球)が少ないからといって必ずしも発熱するとは限らない。体力や免疫力が落ちていて熱を出せない患者さんもいる」と相羽氏は説明する。

 なお、「こうした発熱時・好中球減少時の指導は、外来がん薬物療法開始前に各がん治療施設でしっかりと行われており、多くの注意事項を説明されると思う。発熱や倦怠感など普段なら我慢してしまうようなことなのかもしれないが、FNはときに死に至るリスクがある。しっかりと医師の説明を聞いて、緊急連絡先を把握しておくことが重要だ」と相羽氏は語る。 


表1 病院に連絡する必要のあるとき

●腋窩温でたった1回でも37.5度の発熱が見られたとき(持続的な発熱に限らず、10〜20分だけでも37.5度の発熱がみられたとき)
●発熱はないが、著しい倦怠感、食思不振など普段と明らかに体調が異なるもしくは悪いと感じたとき(必ずしも発熱を伴うとは限らない。また何らかの理由で消炎解熱鎮痛薬、副腎皮質合成ステロイド薬を内服しているときには、それらの解熱効果のために発熱しないことがある)
●発熱の有無は問わず、ひどい咽頭痛、咳嗽、頻尿・排尿痛、背部痛、頭痛など、普段にはない症状が出たとき

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