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レポート

2013/6/11

―日本対がん協会会長・垣添忠生氏に聞く

すべての病院で遺族にグリーフケアの提供を

がんで配偶者を亡くす人は年間20万人

福島安紀=医療ライター

最後まで満足して生きる準備を

 さらに、私は、在宅医療の重要性も実感しています。国も病院での看取りから在宅ケアへ大きく舵を切りました。高齢社会で亡くなる人が増えて病院に入れないから在宅医療を推進しようというのではなく、やはり、自宅で最後まで生きるというのはいいですよ。

 妻の場合は、わずが4日間でしたが、最後を自宅で過ごせて満足そうでした。外泊を許されて自宅に帰ったときには、抗がん剤の副作用で口と食道がひどくただれ、病院ではほとんど何も食べられない状態だったにもかかわらず、私が用意したアラ鍋を嬉しそうに食べました。その次の日からは坂道を転がり落ちるように容体が悪化したものの、最後は私の手を驚くような強い力で握りしめ、そのまま息絶えました。

 もう少し早く家に帰らせてあげれば、もう少し早く点滴を止めていればつらい思いをさせないで済んだのではないかといった後悔が全くないかと言えば嘘になりますが、妻を家で看取ったというのは本当によかったと思います。妻が満足げに旅立っていったということが、私が悲しみの中から立ち上がる救いになりました。

 自分の家で死ぬということは、面倒をみてくれる家族がいる恵まれた人だけが実現できることだと思っている方がいるかもしれません。しかし、在宅医療が進んだ地域では独居の人の看取りも可能になってきています。私たち夫婦には子供がいませんから、私自身も一人で家で死ぬにはどうしたらよいかを綿密に考えています。

 遺言はすでに作っていますし、そのうち、遺品の整理会社と契約するつもりです。葬儀も墓もいりませんが、山登りの仲間が散骨してくれることになっています。

 死の準備は、いま病気と向き合っている人にも、元気な人にも必要です。一人暮らしの高齢者、老老介護の人は多いので、みんな自分の問題として考える必要があるのではないでしょうか。

 すでに妻がいなくなって6年目、仏教でいえば今年の年末が七回忌です。家に帰ったらまず妻に線香をあげ、写真に向かってその日にあったことを話します。グリーフワークをしながら苦難を乗り越えられたお陰で、気力も体力もいまが一番充実しています。

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