このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2013/6/11

―日本対がん協会会長・垣添忠生氏に聞く

すべての病院で遺族にグリーフケアの提供を

がんで配偶者を亡くす人は年間20万人

福島安紀=医療ライター

専門家や周囲の人の力を借りよう

 死別した家族のことを思い出し、つらくてたまらないという人は、一人で苦しまないでください。グリーフ・カウンセラーや精神科医などの専門家のところへ行ってももちろんいいですし、死別を体験した人というのは意外と身近にたくさんいるものです。自分の気持ちを正直に話せば、助けてくれる人は必ずいるはずです。自分の気持ちを話すのは気が進まなくても、つらくて思うように動けないときには、掃除はプロに頼んだり、一人暮らしの高齢者を対象にした家事援助サービスを利用したり、生活の負担を減らすことが必要です。

 私の場合は、妻の死を公にしていなかったこともあり、家では涙にくれ酒浸りになっていた時期も、仕事は見かけ上、普通に続けていました。そのうちの一つには、がん対策推進協議会長という任務もありました。当時は、こんなにつらいときに何でこんなにたくさん仕事があるのだと思いましたが、今考えれば、業務があることが救いになりました。仕事の多くは日限がありますから、無理やりこなしているとその間は悲しみを忘れられました。日中、どうしてもやらなくてはいけない仕事があったので、規則正しい生活を維持できましたし、絶望から逃れられる瞬間があったのだと思います。本当につらいときには仕事を軽減してもらったほうがいい人もいますが、ボランティア活動でも仕事でも何でもいいから打ち込めることに救われる人は多いはずです。

 ただ、「眠れない」「食べられない」「仕事や家事が思うようにこなせない」「消えてしまいたい」「死ぬことばかり考えてしまう」といった状態なら、心療内科や精神科を受診しましょう。死別を体験した本人もその周囲の人も、あれだけつらい体験をしたから落ち込むのは当然だと考えてしまい、受診が遅れる傾向があります。そういうときには、本人は医師のところへ行こうという気力さえ失われている場合が多いので、周囲の人が、医療機関を探し受診を促しましょう。

 埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授の大西秀樹氏は、がんで家族を失った人を対象に「遺族外来」を開設しています。もしも、近くの心療内科や精神科で気持ちを理解してもらえなければ、遺族外来へ行ってみてもよいかもしれません。

 遺族外来をやっているのは、恐らく日本で大西先生のところだけです。本来は全国各地に遺族外来を開設すべきです。そのためにも、グリーフケアに診療報酬をつけるというのは非常に意味があると私は思います。私も国立がんセンターの総長時代にはそこまでグリーフケアの重要性に気づいていませんでした。しかし、今後も講演活動などを通して、グリーフケアの必要性を訴え続けていくつもりです。

この記事を友達に伝える印刷用ページ