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レポート

2013/6/11

―日本対がん協会会長・垣添忠生氏に聞く

すべての病院で遺族にグリーフケアの提供を

がんで配偶者を亡くす人は年間20万人

福島安紀=医療ライター

サポートグループに救われる人も

 遺族会などサポートグループに参加して、同じような体験をした人に共感しながら話を聞いてもらったお陰で救われたという方もいます。普通は、ご主人や奥さんが亡くなって1か月ぐらいは泣いたり苦しんだりしているとほかの人も応援するけど、いつまでも泣いていると、「あなたいつまで泣いているのよ」と心ない言葉をかけられ傷つく場合があります。遺族会で講演したときに参加者の方が、「共通の体験をした人の前ではいくらでも泣けるし、自分の話をみんなにきちっと受け止めてもらえる」とおっしゃっていました。遺族会の会員は、1〜2年そこで過ごしているうちにだんだん立ち直って、もとの生活に戻っていくそうです。同じような体験をした人同士で話すというのはそれだけで癒され、遺族会のようなサポートグループの活動は非常に大きい意味を持つと思います。

 私の場合は、書くことが大きな効用をもたらしました。妻の死からまる1年経った年末年始の休暇中、一人では散歩をするくらいで時間がいくらでも余るので、これまでの経過を書き始めました。気持ちが高ぶってくるからどんどん筆が進みました。

 書くことはずっと心の奥底に押しつぶしていた私の苦しみや悲しみを表出する効果がありました。書くたびに気持ちが楽になり、こういう感じで、グリーフ・カウンセラーというのは話を聞いてくれるのではないかと思いましたね。そのころ書いたものは妻と私との個人的な人生の記録にとどめるつもりでしたが、中学、高校の同級生で文筆家の嵐山光三郎氏の勧めもあり、本になったのが前にも触れた『妻を看取る日』です。これがドラマ化されるなど思わぬ反響を呼び、取材や講演依頼が殺到し、私にとっては新たな出会いを生んでくれました。

 ノートや紙を用意して亡くなった人に伝えたいこと、故人にお礼を言いたいこと、故人に文句を言いたいことを5個ずつあるいは10個ずつ綴ってもよいでしょう。自叙伝、亡くなった方への手紙でもいいと思います。誰かに見せるためではなく、ただ自分の気持ちを書けばいいのです。じっくりと自分の心と向き合うためには、すぐに思いつく言葉だけを書き並べるのではなく、時間をかけて書くという作業も重要です。

 私は妻が遺した絵画作品の遺作展を開きましたが、亡くなった奥さんやご主人の写真集を出したり、絵画集を作ったり、思い出の本を作ったりする方もいます。少し元気になってからでないとできませんが、「亡き人との共同作業」もグリーフワークの一つです。

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