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レポート

2013/6/11

―日本対がん協会会長・垣添忠生氏に聞く

すべての病院で遺族にグリーフケアの提供を

がんで配偶者を亡くす人は年間20万人

福島安紀=医療ライター

立ち直るきっかけとなったグリーフワーク

 この道を確実にするものがグリーフケアであり、喪の作業であるグリーフワークです。グリーフケアが、専門家や同じような体験をした方たちから手を差しのべてもらうケアであるのに対し、グリーフワークは、悲嘆に苦しむ人自身が取り組む「喪の作業」「悲しみを癒す作業」です。多くの人は「時が解決してくれる」と思っているかもしれませんが、死別の苦しみは、グリーフケア、グリーフワークといった手当てなしには癒えないほど強烈です。

 グリーフワークにはさまざまな種類の作業があります。ここでは代表的なものだけを紹介しますが、気の向いたものから悲嘆を癒す作業として取り組んでみるとよいと思います。

 一つ目は、「積極的に涙を流して悲しみ抜くこと」です。特に男性は、泣くのはよくないというしつけを受けているので涙を我慢してしまいがちです。しかし、悲しみのもっとも有効な排出方法は泣くことです。デーケン先生も悲嘆を乗り越えるためにもっとも大切な要素のひとつは「感情の発散」だと言っています。涙には大きな癒し効果があります。

 私は、本当にどうしてここまで涙が出てくるのかと思うほどひたすら泣きました。

 妻が旅立ったのは大晦日ですが、「年末年始は何としても家へ帰りたい」としきりに訴えていたので、外泊許可を取って12月28日に自宅へ帰りました。自分の命が燃え尽きようとしていることを知っていた妻は、最期を家で迎える覚悟だったのでしょう。夫婦で静かに過ごしたかったので、私は看護師からケアの仕方を習ってすべて自分で世話をし、一人で妻を看取りました。妻の命が尽きたとき、私は声をあげて泣きました。

 人によって考え方が違うかもしれませんが、私が一人で妻の世話をし、看取った瞬間もその後も一人で思い切り泣けたことが立ち直るきっかけになったことは間違いないと思います。親戚には何で知らせてくれなかったのかとあとで怒られましたが、それも織り込み済みでした。無理をしないで、とことん悲しみ抜くことが大事です。

 二つ目は、「言葉にして苦痛を吐き出すこと」です。悲しい、寂しい、悔しい、腹が立つ、怖い、自分のありのままの気持ちを吐き出すことは涙を流すのと同じような効果があります。その際、誰か信頼できる友人、グリーフ・カウンセラー、臨床心理士、医師などを相手に自分の体験やつらい気持ちを吐き出すと徐々に気持ちが整理され楽になります。誰かに話すのが嫌なら無理をせず、故人の遺影に向かって語りかけてもよいでしょう。

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