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レポート

2013/6/11

―日本対がん協会会長・垣添忠生氏に聞く

すべての病院で遺族にグリーフケアの提供を

がんで配偶者を亡くす人は年間20万人

福島安紀=医療ライター

 「我が国ではがんで家族を失った遺族へのグリーフケア(悲嘆を癒すケア)がなかなか広がらない」―-。最愛の妻をがんで失った経験から、遺族へのケアの重要性を訴える垣添忠生氏(日本対がん協会会長)に、グリーフケアとグリーフワークについてうかがった。


日本対がん協会会長の垣添忠生氏

 私は2007年の大晦日に自宅で妻を看取りました。その年の3月に国立がんセンター(現・国立がん研究センター)総長を定年退職し名誉総長になったので、今後は2人であちこち旅行して好きな絵を描こうと思っていたのに、妻は旅立ってしまったのです。

 私はがんの専門医として、たくさんの患者さんの生死に関わってきましたし、妻が治らないことも分かっていて覚悟はしていました。それでも、妻を失った悲しみと苦しみは想像を絶するものでした。

 患者さんが生きている間は、家族はそのことで一生懸命ですし、医師や看護師は家族も含めてケアするようになってきています。しかし、多くの遺族は、患者さん本人ががんで亡くなって退院すると、その日から悲しみ、苦しみの中に突然放り出されてしまいます。医療現場では、亡くなった患者さんの家族はどうしているかなと気にはなっても、常に新しい患者さんが来るからその対処に全力を尽くして、実際的な行動を起こすことができないのが現状です。私は、一応、ある程度知識があったので一人で立ち直ろうと思いましたが、どこで誰に相談したらいいかも分からず、準備なしにその中に放り出されるのは、私の体験から言っても相当過酷です。


 緩和ケア病棟やホスピスでは、看護師などが遺族にグリーフカードを送ったり、遺族会を開いたりしているところがありますが、これは医療者にとって精神的にかなり重たい仕事ですから、ボランティアではなく、医療システムの中に取り入れるべきです。遺族の中には、なかなか立ち直れなくてうつ病になったり、自死を遂げたりする方がいます。1999年には、文学評論家の江藤淳さんが、がんで奥様を亡くして自死されていますよね。本当につらい気持ちでいる遺族は、なかなか助けてくれと手を挙げられない状態ですから、何らかのサインを見つけてプロの手で支援の手を差し伸べることが必要です。緩和ケア病棟だけではなく、国立がん研究センターのようながん専門病院も含め、がん治療を行うすべての病院でグリーフケアに診療報酬をつけ、システムとしてがんの遺族のケアを行えば、救われる人は多いのではないでしょうか。

 グリーフケアは、悲嘆に苦しむ人を見守り、支え、あらゆる方法で手を差しのべることです。

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