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レポート

2013/5/21

がんと生殖機能温存 Vol.1

がんの治療医と生殖医療医がネットワークを構築 

動き出した岐阜モデル

福島安紀=医療ライター

ネットワークには医師会や医療倫理の専門家も参加

 日本産科婦人科学会に施設登録をしているART(生殖補助医療)施設でも、がん患者への対応や実施している生殖医療の内容は医療機関によって異なっているのが現状だ。そこで、古井氏らは、県内のART施設に対して、がん患者に対する精子、卵子、受精卵の凍結を行っているか、未婚の人への対応の現状などを調査し、協力を呼びかけた。国内では聖マリアンナ医科大学などで、抗がん剤治療を受ける前に女性がん患者が卵巣を切除して凍結保存する方法を選択できるようになっているが、県内ではそういった医療機関がなかったため、同大産科婦人科で卵巣保存を行う態勢を整備したという。

 「調査の結果から、がん治療による妊孕性低下について、がん治療医と生殖医療専門医が協力して対応するシステムを構築することが、患者への情報提供を円滑に行うことに役立つのではないかと考えました。さらには、患者に適切な情報を提供するためには現場の医師の連携だけでは不十分なので、県の健康福祉部や県医師会の先生方にも協力をお願いしました。また、倫理的に検討しなければならない問題が多いため、医療倫理の専門家にも加わってもらいました」と古井氏は語る。

 GPOFsには、県内のがん治療施設、生殖医療施設、同県健康福祉部、同県医師会、医療倫理学の専門家など24施設52部門が参加している。岐阜県がん患者支援情報提供サイト「ぎふがんねっと」では、「将来の出産に備えて」といったコーナーも新設した。

 がん・生殖医療相談外来は自費(保険外)診療で基本料金は30分1万500円。それ以降は30分ごとに5250円が加算される。血液がんの患者など、すぐに抗がん剤治療を始めなければならないケースもあるため、同外来での相談は時間外や日・祭日を含め、できる限り迅速に対応している。5月1日までに約10人の相談があり、すでに妊孕性温存治療を受けた人もいるという。がん・生殖医療相談外来が仲介役となって、がんの治療医と生殖医療医というそれぞれの専門医が連携して相談に乗ってもらえるので、患者にとっても心強いだろう。

岐阜をモデルに全国ネットワーク構築へ

 「岐阜県在住の患者が隣接する愛知県や三重県でがん治療を受けることも多いですし、すでに愛知県や三重県で不妊治療を受けている方ががんになるケースもあります。現在、愛知県、三重県の生殖医療機関との連携を進めていますが、いまのところ20カ所のART施設の協力が得られることになっています。しかし、がん患者の場合、がん治療の進み具合などにより、精子や卵子などを10年以上保存することが必要なケースもあり、医療機関側の保管場所を圧迫する可能性や責任者の交代や廃院になったときにどうするかといった問題が生じます。倫理的な面も含めた問題やいろいろなトラブルが出てくると考えられ、ガイドラインの作成などシステム構築が必要なのではないでしょうか。そういった問題も考慮しながら、がん生殖医療が有効に機能するようにしたい」と古井氏は話す。

 NPO法人日本がん・生殖医療研究会代表で、聖マリアンナ医科大学産科婦人科学教授の鈴木直氏は、「岐阜県のGPOFsをモデルに、全国でがん治療を行う医療機関と生殖医療機関とのネットワーク構築を進めていきたい。また、米国のOncofertilityコンソーシアムやドイツのFertiPROTEKTのように、患者への情報提供を今後充実させていく予定です」と強調する。

 同研究会では、4月21日のシンポジウムに合わせてホームページを開設し、妊孕性温存について相談できる医療機関名を公開している。若年がん患者が多い乳がん、血液腫瘍、精巣腫瘍、その他のがん種別に、妊孕性温存の相談や治療ができる医療機関の情報も順次更新していく方針だ。

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