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レポート

2013/3/12

日本対がん協会・会長の垣添忠生氏に聞く

小児がん診療の「集約化」で質の高い医療を提供できる体制をつくる

満武里奈=日経メディカル別冊

―具体的には、どのようなかたちで小児がん診療提供体制の「集約化」が行われるのでしょうか。

垣添 まず最初に、各地域で小児がん診療の中心的役割を担う「小児がん拠点病院」を指定することになりました。

 昨年9月に拠点病院の募集を開始したのですが、全国37施設から応募がありました。このうち、指定要件を満たす、もしくは地域性を考慮するなどにより22施設についてヒアリングを実施しました。

 この小児がん拠点病院を選定する際には、診療実績を重視したほか、総合的に小児がん診療を行うことができるのかという観点で選定しました。具体的には、診療実績として、造血器腫瘍が年間10例以上、固形腫瘍についても年間10例以上、うち脳・脊髄腫瘍が2例以上としました。また、小児がん診療の総合力があるかを判断する際には、再発・難治例への診療が十分に行われている、緩和ケアの実施体制が確保されている、長期フォローアップの具体的な方法が示されている、専門的な医療従事者が十分に確保されている、長期滞在施設など家族への支援が十分にある、などの観点から、9人の構成員が総合的に判断し、15施設が選定されました。

 この小児がん拠点病院を中心に、地域ごとに今後の診療提供体制について話し合っていただくことになっています。どのようなかたちでまわりの医療機関と連携を図るかなどの連携方法や役割分担、小児がん診療に携わる医療従事者の人材育成の方法についてしっかりと話し合っていただき、指定から6カ月以内に国に計画書を提出していただく予定になっています。つまり、各地域の特性を踏まえた上で、小児がん診療を行っていただくということです。

 指定された施設には2000万円ほどの助成金が補助されることになりますから、小児がん診療専門の医療従事者の人件費などに充てることなども可能です。


―今後の課題について教えてください。

垣添 小児がんの拠点病院が指定されたことは、小児がんの最適な診療体制を整える上で大きな一歩です。重要な一歩をようやく踏み出したわけです。
 
 今後は、指定からおよそ1年後に、有識者、患者・家族、医療従事者から構成される検討会を設置し、拠点病院において計画通りに取り組みが進んでいるかについて検証する予定です。また、今回指定されなかった施設についても追加で指定する必要があるかどうかについて検討する方針です。たとえば、ある特定のがんについて非常に高い診療実績を持っている施設が全国にいくつかありますから、こうした施設を拠点病院として指定することも検討することになるでしょう。

 また、2013年度中には、これら拠点病院を牽引し、全国の小児がん診療の質を向上させる役割を担う中核機関を1〜2施設指定し、小児がん診療体制の整備をさらに進める予定です。これによって、我が国の小児がん対策の体制が整っていくことになります。

 なるべく近い将来に、小児がん患者のがん登録を行うこと、全数把握も視野に入れています。今回指定された拠点病院もしくは中核病院において、小児がん患者の全数登録を開始する可能性もあります。小児がん患者を10〜20年間というスパンで長期にフォローアップしていくことが必要だからです。

 今回取り組んでいる小児がん診療体制の整備がわが国に定着し、一定の成果を出すまでには、少なくとも10年はかかると思いますが、拠点病院を指定したことで重要な一歩を踏み出したと感じています。今後も検証を重ね、必要な部分については改善していき、小児がん患者さんにより質の高い医療を提供できる体制を一日も早く整備したいと思います。

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