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2013/3/5

知識から実践へ

生活習慣のがん発生リスクを知ろう

宮腰祥子

 がんの原因の何割かが予防可能な生活習慣や環境要因によることが、近年明らかにされつつある。しかし、がん予防のために個人の生活習慣を変えるよう啓蒙するには、リスク要因と発がんの因果関係を科学的根拠に基づき評価し、その根拠に基づき予防指針を作成し、予防の実践に至るまでの「橋渡し」が重要だ。昨年12月20日に開催された第143回日本医学会シンポジウム「がんの一次予防と二次予防」で、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部の笹月静氏が「日本人のためのがん予防ガイドライン」と題して、がん予防実践への取り組みについて講演を行った。


 がんの発生と関連があると考えられているリスク要因については、これまで複数の国際機関が評価研究を行っている。ヒトを対象とした疫学研究などの科学的根拠に基づいて、その要因とがんの間に因果関係があるかを検証し、因果関係があるとされた場合は「関連の大きさ」を量的に評価するという手順が踏まれている。

 海外ではその評価をもとにした指針がいくつかまとめられており、そのうちの一つである世界保健機関(WHO)による「WHOがん予防食事指針(2003)」では、「成人期での体重の維持」や「定期的な運動の継続」、「飲酒はしない」などの8項目が提案されている。

 しかし、これらの指針の根拠となっているのは主に欧米人を対象とした研究であるため、遺伝的背景や肥満度の分布、食生活などが欧米人と異なる日本人に対しては、「このまま適用できる指針とは限らないのが現状」(笹月氏)だ。

 2007年に10年ぶりに改訂された世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による指針でも、正常な体重の範囲でできるだけやせることや、高カロリー食品、ファストフードを控えるなど、「やや肥満対策に偏っている印象」(笹月氏)がある。また、これらの指針には中国式塩蔵魚やピーナッツなどの豆類につくことがあるカビの一種「アフラトキシン」など、日本人の食生活の上ではあまり遭遇する心配がないものに関する項目も含まれているため、日本人のエビデンス(証拠)を整理する必要があった。

がん予防の鍵は、身近な生活習慣の中に

 そこで、厚生労働科学研究事業(平成23年度まで)および国立がん研究センターがん研究開発費(平成24年度から)による「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」班では、平成15年から日本人を対象とした研究に基づいて、生活習慣や生活環境などの要因とがんの関連について明らかになったエビデンスを検証、がんとの因果関係の有無について評価を行っている。

 これまでに評価したのは喫煙、飲酒、肥満、食事要因、運動、感染症、心理・社会的要因など。全がんとがんの部位別にエビデンスのレベルを「確実」、「ほぼ確実」、「可能性あり」、「データ不十分」の4段階で評価し、さらにがんとの因果関係があるとした場合はどのくらい関連が強いかを評価した(表)。

表 生活習慣、生活環境などの要因とがんとの関連の評価の一覧
(出典:がん予防・検診研究センター予防研究部
http://epi.ncc.go.jp/cgi-bin/cms/public/index.cgi/nccepi/can_prev/outcome/index)
(画像をクリックすると拡大します)

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