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レポート

2013/2/26

骨転移による麻痺、骨折をいかに防ぐか

四国がんセンター整形外科 杉原進介氏と中田英二氏に聞く

野中希=医学ライター

――骨転移があった場合、どんな治療が行われますか。

杉原 さきほど申し上げたとおり、骨転移は転移の一部ですから、原発巣に対する治療が奏効すれば骨転移にも顕著な効果が見られることがあります。

 最近は、一部のがんではゾレドロン酸(ゾメタ)やデノスマブ(ランマーク)などの骨修飾薬が使用されます。過去には、SREが発生してから使用するケースも多かったようですが、現在では、こうした骨修飾薬によりSRE発生を遅らせるというデータが出ており、積極的に使用するようになってきていると思います。ただしSRE発生を100%抑えるわけはないので、なにより原発のがんに対する効果的な治療が行われることが重要だといえます。

 我々はがんセンターに所属する整形外科医で、がんのリハビリとともに骨転移についても診療していますが、一般的な病院では、がん治療に携わる医師がこうした骨修飾薬を処方するケースが多いでしょう。

――骨転移が進行して起こる骨関連事象(SRE)とはどういうものでしょうか。また起こった場合の対応や治療法を教えて下さい。

杉原 SREは先ほど述べたように脊髄圧迫などによる下半身および四肢の麻痺、骨折、痛みです。

 麻痺の治療については、まず麻痺の症状を改善するため手術によって脊髄の圧迫を取り除くことができるかどうか検討します。ここで、元のがんの種類や、転移の状況によって手術の効果があまり期待できない場合、放射線治療やステロイドの注射による治療が中心となります。これまで報告されている治療成績では、麻痺の改善率は5〜7割で、残念ながら、全ての症例で麻痺を解除できるとは限らないのが現状です。また、手術を行うことは侵襲性が高く、身体にかかる負担も大きいため、医師と患者・家族が相談し、手術をしないという選択をする場合もあります。その場合、体への負担が少ない放射線の治療を行います。

 骨折の場合、足であれば歩けるように、手であれば動くように、を目標に、金属で止める、人工関節を使用するなど、ケースバイケースで治療します。乳がんの骨転移では骨が硬くなる症例が多いのですが、ドリルが利かないほど硬くなって侵襲性が高くなるような場合、患者さんのメリットとデメリットを考慮し、手術の方法を判断します。

――麻痺が起こったら、できるだけ早く病院へ行くことでしょうか。

杉原 いろいろなデータがありますが、麻痺が認められてから完全麻痺に至るのに1〜3日以内で起こるという場合もあります。また、完全に麻痺してしまうと、手術をしても回復することが難しいケースが多いようです。一方で、乳がんの場合など一週間ぐらいほとんど何も変わらず進行しないものもあります。

――麻痺や骨折を防ぐため、患者や家族が気づくことができるSREの予兆はありますか。

中田 SREの予兆はやはり痛みです。痛みが出てから麻痺が認められるまでに少し時間があります。それは1日2日や1週間ではなく、1カ月という単位です。ですので、痛みが出た矢先に治療を開始することが重要になるので、いかに早期の段階で対応できるかがポイントとなります。

 私が外来で診ている患者さんには、脊椎にある骨転移の進行が認められる場合、背中のどのあたりに骨転移巣があるかを指で示しながら、「この辺に痛みが少しでも出たら教えてください」と指導をしています。足腰の痛みは「年のせい」と考えられがちなので、具体的な場所を教えて、そこに痛みが出ていないかどうか、注意してもらうことが重要だと思っています。また、まだ詳細な検討を進めている途中ではあるのですが、骨転移巣近辺で痛みが発生する前に「違和感」というか重たいと感じる感覚が見られることがあるようです。この「違和感」が痛みに変わっていくのではないかと考えています。

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