このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2013/2/26

骨転移による麻痺、骨折をいかに防ぐか

四国がんセンター整形外科 杉原進介氏と中田英二氏に聞く

野中希=医学ライター

 がんの進行に伴い発症する骨転移。どのがん種でも起こる可能性があり、その病態は個々に異なるため、ケアや治療法も一律ではない。骨転移の進行により生じる麻痺や骨折といった骨関連事象SRE)は、一旦発生すると元に戻すのは難しいことも多く、患者や家族の生活の質(QOL)に重大な影響を及ぼしかねない。骨転移後のSREの現状や治療について、四国がんセンター整形外科外来医長の杉原進介氏と中田英二氏に聞いた。


四国がんセンター整形外科の杉原進介氏(写真左)と中田英二氏

――がんの骨転移とは、身体のどこに発症しやすく、またどのようながんで多く起こるのでしょうか。

杉原 基本的に、発生頻度には大きな差はありますが、どのがんでも骨転移は起こる可能性はあります。当センターを受診する患者には肺癌の患者が多く、そのため骨転移症例として診察する頻度も多いです。また、乳がんも患者数が多く、また乳がんと診断されてからの期間が長いため、転移の形の1つである骨転移が認められる患者の割合は相対的に高くなります。このようにがんの種類やその性格によって骨転移の発生頻度も異なりますが、どのがんでも骨転移はみられます。

 骨転移には、骨が硬くなる(造骨性)ものと、溶けていく(溶骨性)ものがあります。がん種によっても個々のがんによっても異なります。

 身体のどこの骨に転移するかも明確にはわかっていません。一般には、体幹および近位部(胴体およびそれに近い部分)の骨に多いと言われていますが、最近ではがんの発見からその後の治療期間が長くなってきていますし、よく調べてみると四肢の骨にも転移しているケースが見られます。

 骨転移そのものはがんが転移する臓器の1つであり、他の臓器に転移することと大きな違いはありません。例えば、肺や肝臓に転移した場合、肺の持つ呼吸機能、肝臓の持つ代謝機能に影響が出ますが、骨転移に特徴的なのは、骨関連事象(SRE)が起こることです。SREとは、痛みや骨折、あるいは骨に転移したがんが増殖することにより神経を圧迫して発生する手や足、あるいは下半身の麻痺などです。

 SREそのものは命に関わるほど重篤な症状ではない一方で、肺転移や肝転移は進行すると呼吸不全や肝不全につながるため、原発巣の治療とともに最優先で治療が行われます。ただし、SREの状態によっては骨折の治療が難しかったり、麻痺を取り除く手術が難しい場合もあり、患者のQOLが大きく低下するというのが特徴といえるでしょう。なお、骨転移があっても全員がSREを起こすリスクが高いわけではありません。リスクの低い方には SREの頻度も低いのでそれほど心配する必要はありませんが、骨転移が進行すると、SREの発生リスクが高まるので注意が必要です。

――骨転移はどのように見つかるのですか。

杉原 がんと診断された際、その後の治療方針を決めるため、精密検査を行います。その際、骨転移の有無も調べることが多いと思います。

 術後のフォローアップ中や転移/再発に対する治療中に発現してくる骨転移については、骨に転移しやすいがんとしにくいがんがあり、原発巣の治療を担当する診療科ごとにどのようなフォローアップ検査をするかはだいたい決まっていると思います。そのフォローアップ中に見つかることもあります。

この記事を友達に伝える印刷用ページ