このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2013/2/12

利益と不利益のバランスを考慮して──「がん検診ガイドライン」からがん検診の目的を考える

宮腰 祥子

 がん対策を進めるうえで欠かせないがん検診──その根拠となる研究を科学的に検証した「がん検診ガイドライン」は、検診の有効性を裏付けるための土台となる重要なものだが、その提言をめぐっては過去に議論も巻き起こっている。2012年12月20日、日本医学会主催の第143回日本医学会シンポジウム「がん一次予防・二次予防」で講演した国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの濱島ちさと氏に、がん検診ガイドラインとがん検診のあり方について聞いた。


集団を対象とする「対策型検診」と個人が選択する「任意型検診」

国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの濱島ちさと氏

 がん検診というと受診率向上ばかりに目が行きがちだが、「まず、有効性の確立した検診(正しい検診)を、徹底した精度管理で正しく行うことが重要だ」と濱島氏は話す。

 そもそもがん検診には、地域や職場で行われる「対策型検診(住民検診型)」と、それ以外の「任意型検診(人間ドック型)」の2種類がある(表1)。

 現在、対策型検診は健康増進法に基づき、公共的な予防対策として「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮頸がん」の5つのがんについて、40歳以上(女性の子宮頸がん検診のみ20歳以上)を対象として行われている。一方、任意型検診は医療機関や検診機関などが任意に提供する医療サービスであり、人間ドックなど個人の希望に応じて検診を受ける。

 対策型検診は対象となる集団におけるがんの死亡率の低下を目的としているが、任意型検診にはそれ以外の様々な検診が含まれている。費用も任意型検診では個人(受診者)が全額自己負担するが、対策型検診は公共的な予防対策として行われるため、個人の自己負担はないか、一部のみ負担するという違いがある。

表1 対策型検診と任意型検診の比較。第143回日本医学会シンポジウム発表スライドより(表をクリックすると拡大します)

利益と不利益のバランスから検診の推奨レベルを決定

 がんは早期に発見し、治療することが重要であるため、がん検診を受けることが大切であるが、がん検診は必ずしも受診者にとって良いことばかりをもたらすわけではない。

 たとえば、1)実際にはがんがあるのに正しく診断されない「偽陰性」、逆に2)がんがないのにがんと判定されてしまう「偽陽性」、3)過剰診断――などが問題点として指摘されている。過剰診断とは、そのまま放置していても生きていくうえではあまり影響のないタイプのがんが検診を受けたことで発見されるというもの。しかし、がんが見つかったとなればたいていの場合、通常のがんと同じように治療を受けることになるため、不必要な治療によって身体的・精神的な負担がかかるという考え方もできる。さらに、エックス線検査や乳がんのマンモグラフィ検査などによる被曝の懸念や、予期しない偶発症が起こる可能性もある。また、便潜血のように初回の検査は負担が小さいが、精密検査の大腸内視鏡検査では偶発症が起こる可能性が高くなる。

 そこで、それぞれの検査の有効性を調べ、検査を受けることによるメリット(利益)とデメリット(不利益)を明らかにし、がん検診としてどの程度「推奨」できるかをまとめたのが「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」だ。

この記事を友達に伝える印刷用ページ