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レポート

2013/2/19

女性がんは定期検診とかかりつけ医を持つことで予防する

満武里奈=日経メディカル別冊

HPV検査の併用を検討

 最近では、子宮頸がんの細胞がHPVに感染しているかを調べる「HPV検査」にも注目が集まっています。細胞診だけでなく、HPV検査を併用することで、異形成の見逃しが減ることが報告されています。一方で、HPV検査は、1〜2年ほどで自然排除される可能性のあるウイルスも検出してしまうという特徴があるため、性活動が比較的安定した30代以上の女性を対象にすることが勧められています。一部の地方自治体では、すでに検査費用の補助を開始したところもあります。

 しかし、実際に全国的にHPV検査を検診に導入するとなった場合、最適な検査対象年齢、頻度についてはまだ日本でどのように行うのが最適かというデータがありません。ですので、今後データを蓄積していくことが必要になります。

―最近、子宮頸がんを予防するワクチンが登場しました。

宮城 子宮頸がんについては、検診だけでなく、予防するワクチンが2011年に登場した意義はとても大きいといえます。子宮頸がんワクチンを性交渉開始前に打てば、約20年間は予防効果が持続すると推計されています。

 自治体により対象学年に違いはありますが、中学1年生から高校1年生を対象に予防接種が公費助成されています。予防接種率は70〜80%で、とても順調に予防接種事業が進行しているといえるでしょう。

 ただし、子宮頸がんワクチンは、さまざまなタイプがあるHPVのうち子宮頸がんの原因の7割のタイプに有効であるとされているので、必ずしも全ての子宮頸がんを予防できるとは限らないという限界もあります。そこで成人後は、最低2年に1回は産婦人科を訪れ、子宮頸がん検診を受診する必要があることには変わりありません。こうした検診と子宮頸がんワクチンを併用することにより、将来的には、子宮頸がんの罹患率や死亡率の減少につながることが期待されます。

―子宮頸がんワクチンの予防接種を受けていない20代以上の女性はどうすればよいのでしょうか。

宮城 可能であれば、子宮頸がんワクチンの予防接種を受けることをお勧めます。公費助成の対象からはずれた10代後半から20代女性にも一定の効果は期待できます。しかし、自費診療で5万円ほどかかってしまいますので、ワクチン接種をしなくても最低限、子宮頸がん検診だけは2年ごとに受けてほしいと思います。

思春期からかかりつけ医を持つことが早期発見につながる

―そのほかの女性特有のがんについてはどうすればよいでしょうか。

宮城 乳がん、子宮体がん、卵巣がんもそれぞれ罹患率、死亡率は増加しています。乳がんの罹患年齢のピークは40代で、欧米と比べ、日本では30代の乳がん患者の割合が多いことも特徴です。子宮体がん、卵巣がんは40-60代の患者さんが多いです。罹患率増加の原因としては、晩婚化・少子化や、食文化の欧米化などが影響していることが指摘されています。

 乳がんは、子宮頸がんと同様、検診が非常に有効ながんの1つです。乳がんによる死亡を減らすためにはマンモグラフィーが有用であるというエビデンスが示されていますので、2年に1回はしっかりと検診を受けてもらいたいです。また、ご家族に乳がんの方がいる女性は、人間ドックなどで30代から超音波検診を受けることも選択肢のひとつです。

 一方、子宮体がんと卵巣がんについては、子宮頸がんや乳がんと比べると、検診の有用性がはっきりと示されていません。子宮体がんは不正出血の症状が出やすいのですが、月経不順と勘違いして発見が遅れるケースが多いことが知られています。また、卵巣がんは、胸水や腹水が貯まってからようやく発見されることもあります。

 では、子宮体がんや卵巣がんの検診が有効でないのなら、どうすればよいのか、ということになりますが、私たちが勧めているのは産婦人科のかかりつけ医を持つことです。かかりつけの産婦人科医を持ち、思春期から更年期まで定期的に受診し産婦人科の問題を相談しやすい環境を作ることで、子宮体がんや卵巣がんを早期に発見できるのではないかと考えています。

家庭や学校での教育が重要

―女性がん予防における今後の課題を教えて下さい。

宮城 啓発活動によって検診の重要性が認知されても、がん検診の受診率向上になかなか結びつかないことが課題です。

 たとえば、乳がんのピンクリボン運動によって、運動や疾患自体の認知度は非常に高まりました。しかし、検診受診率がそれに比例して上昇したかというとそうではなく、伸び悩んでいるのです。検診はとても大事だと分かっていても、検診を受診するという一歩がなかなか踏み出せない人が多いのです。

 その原因の1つとしては、学校や家庭において、がんの予防などの健康教育が十分に行われていないことであると感じています。また、性交渉にともなって起こる病気があるということを話し合うのも重要だと思います。

 予防できるがんがあることや,成人したらがん検診が重要であることなどを子どもたちに伝えていくべきなのです。しかし実際には、それが学校や家庭で行われていない。その結果、がんの予防や早期発見を身近な問題として感じられない環境になっているといえるでしょう。

 残念ながら、多くの女性が子宮頸がんとHPVの関係を知らず、身近に潜むリスクに気づいていません。さらに検診がとても有効で、早期に子宮がんを発見できれば命が救えることを知らないのです。よく「がんが見つかるのが怖いから検診を受診しない」という人がいますが、これは本当にもったいないことです。早期に発見できれば、救える命だからです。家庭や学校での教育を十分に行い、思春期のHPVワクチン接種や月経の相談などからかかりつけの産婦人科医を持つことを勧めるべきだと感じています。

 女性は、子宮頸がんと乳がんに関しては最低2年おきの検診を受けること、あとは思春期から産婦人科のかかりつけ医を持つこと−、これで女性特有のがんによる死亡率は減少すると考えています。

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