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レポート

2013/2/5

大腸ESDでより大きな大腸病変でも内視鏡的一括摘除が可能に、重要なのは術前診断

広島大学病院内視鏡診療科教授の田中信治氏に聞く

聞き手:増谷彩=日経メディカル別冊編集

今後も議論が予想される大腸ESDの保険適用条件

 ESDが保険診療となったことは、基本的には患者にとってメリットがあることだと考えています。ただ、保険が適用される条件についてはやや納得できないところがあります。大腸ESDの保険適用条件は、表1のように「早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術」、つまりがんに対する保険点数であるとされています。

(画像をクリックすると拡大します)

表1 大腸ESDの保険適用条件

 しかし、説明文中には「最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫」という記述があります。これはあくまで、術前診断で悪性腫瘍と判断してESDにより摘除したものの、結果的に良性腫瘍である腺腫であった場合でも保険請求できるように記述されているものだと解釈すべきです。しかしこれを、早期悪性腫瘍のための技術であるのに、腺腫に対してもESDを施行してよいと解釈してしまう医師もいるようです。良性の腺腫は悪性のがんと異なり、転移の心配などもないために、必ずしも一括摘除する必要はありません。その場合は、腫瘍径が大きいものでもEMRを数回に分けて行う分割EMRなどを用いるべきです。分割EMRは、腺腫に対しては高い頻度で行われる方法で、技術も成熟していて簡便なので信頼性が高いですし、安価に行うことができます。適用ははっきりがんと分かるようにし、誤解をなくす記述に変更するべきでしょう。

 また、「最大径が2cmから5cm」という大きさの上限は不要と考えています。技術的難易度が高いために、5cm以上の大きな病変はまだ危険であるという判断がされたと思われますが、食道ESDも胃ESDも大きさの制限はついていません。経験の少ない医師がいきなり難易度の高い病変を摘除することは考えにくいので、制限の必要はなかったと考えています。

 さらに、大腸ESDはがんを一括摘除するための手技ではありますが、術中うまくいかずに分割摘除となってしまうこともあります。説明文では「病変を含む範囲を一括で切除した場合に算定する」とされていますが、これではESDを行ったものの分割摘除となってしまった場合に保険請求ができなくなってしまうため、「一括でないといけない」という条件は変更してほしいと考えています。これら保険適用条件の記載については、現在学会などでも議論されており、学会として今後厚生労働省に改訂を申請していく予定です。

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