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レポート

2012/12/25

限局性前立腺がんの最新治療 Vol.2

「手術と放射線療法の治療成績は同等、患者自身が何を優先するかで選択を」

宮崎大学医学部附属病院泌尿器科教授 賀本敏行氏

聞き手:福島安紀=医療ライター

 2012年4月にロボット支援手術が保険適用になったこともあり、限局性前立腺がんの治療法には迷うほどたくさんの選択肢がある。宮崎大学医学部附属病院泌尿器科教授の賀本敏行氏に、治療法を選ぶポイントを聞いた。


 前立腺がんを完全に治すための治療法には、大きく、手術療法と放射線療法の2つがあります。この2つの治療法の治療成績を比べたエビデンスレベルの高いRCT(無作為比較試験)はないのですが、複数の臨床試験を合わせて分析した結果では、限局性前立腺がんの根治率(生存率)はほぼ同等です。


それぞれの治療法の欠点を検討して

 異なるのは、治療に伴う合併症の出方です。前立腺は膀胱、直腸、恥骨、尿道括約筋に囲まれていますし、性機能や排尿に関わる神経も通っているので、どちらの治療法を選択した場合でも一定の割合で合併症が出てしまいます(図1)。

図1 前立腺の位置(賀本氏より)
前立腺は膀胱、直腸、恥骨、尿道括約筋などに囲まれている。

 手術療法では前立腺を全部摘出して膀胱と尿道をつなぐため、手術後に尿漏れや性機能障害が起こりやすいのが難点です。尿失禁を防ぐために排尿に関わる神経や尿道括約筋の温存を行われるようになってはきていますが、『前立腺癌診療ガイドライン2012年版』(日本泌尿器科学会編)によると、術後の尿機能の回復率は60〜98%で、放射線療法よりは尿失禁の合併症が多いのが実情です。また、勃起機能を保つため神経温存が推奨されていますが、神経が残せたとしても性機能の回復率は3〜5割程度です。

 放射線治療、特に放射線を外側から当てる外照射の急性期の合併症には、頻尿、排尿時痛、血尿、下痢などがあります。これらは照射終了後1カ月以内に回復しますが、問題は、放射線が直腸にも当たってしまうために、数カ月〜数年後に直腸出血などの晩期障害が出るリスクがあることです。

 どちらも合併症がありますし治療にかかる期間も治療法によって異なります。治療法の選択は、患者さん自身が何を大事だと考えるかによって違ってきます。ただ、がんが発見される前から前立腺肥大などで尿が出にくい排尿困難症状の強い人は、放射線を照射するとさらに悪化する可能性も高いので年齢など他の因子もありますが、第一に手術を考えます。一方、急に性機能を失いたくないという人は放射線療法を選んだ方がよいでしょう。放射線療法でもホルモン療法の併用や年齢によって性機能が回復しない場合もありますが、手術療法よりは当面の性機能が維持できる可能性が高いからです。

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