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レポート

2012/12/18

医療者、ボランティア、患者自身それぞれの立場から見た東日本大震災

災害時にもがん治療を中断しない――大きな役目を果たすがん診療相談室

増谷彩=日経メディカル別冊

通院先の変更で、交通手段確保に苦労

 続いて、患者として東日本大震災を経験した本多憲子氏が登壇し、被災時のがん患者の状況について語った。被災後も、信頼する担当医師からの連絡を冷静に待つことができたという本多氏。担当医師からはすぐに、山形県の病院で治療を行うよう連絡が来た。

 その際苦労したのは、交通手段だった。電車やバスなどの交通手段が元通りとは言えなかった震災後、車を所持しない本多氏は、交通手段が絶たれた状態だったという。担当医師からは、治療のため同じ病院へ向かう患者を紹介され、相乗りを提案された。しかし他の患者を巻き込んでは申し訳ないと考え、なんとかタクシーを手配できたため、無事山形県の医療機関で治療を受けることができたと語った。

がん患者のケア用品不足から発足した支援プロジェクト

 東北大学病院薬剤部の北村奈央子氏は、市民ボランティア「One World プロジェクト」の活動について発表した。同プロジェクトは、震災後、北村氏を始め6人の医療者が発起人となり、公益財団法人日本対がん協会の協力と、がん患者団体のネットワークJ-CAN(Japan Cancer Action Network)の後援を受けて立ち上げたボランティア団体だ。目的は、がん患者用のかつらやケア帽子、がん患者用の下着などを寄付または購入によって集め、提供することだった。作業場所や送料などの必要経費については、日本対がん協会に協力を要請して提供を受けた。

 支援物資の第1次募集は、2011年4月11日から28日にかけて行った。その後2012年11月5日から9日にかけて行った第6次募集まで続いている。2012年11月時点まで、かつらが約1970点、帽子約7560点など、のべ約1700件の寄付があった。また、カツラ用アンダーネット約500点、乳がん患者用ブラジャー280点、シリコンパッド28点などを購入して送付した。

 集まった支援物資は、医療施設で配布することとなった。北村氏が受け入れ可能な医療施設の開拓を行い、宮城県や山形県の22施設で配布できることとなった。

 同プロジェクトの今後の活動目標として北村氏は、かつらのリユース支援を挙げた。同プロジェクトでは、かつらなどを販売することはなく、永久レンタル品として提供している。役目を終えた場合には、次に必要としている人に渡るように、という思いがあるという。かつらを長く使ってもらうため、アデランス社の協力のもと、2012年7月からはかつらお手入れサービスを通常の半額で提供するサービスを実施している。

 これらの活動を通して北村氏は、「人の役に立ち、社会とのつながりを得ることは、がん患者自身の励みになっていた。経験者が診断後まもない患者へエールを送ったり、ひとりではないと思うことが大きな支えになっており、自分以外にも似たような経験を持つ人は大勢いて、病院でも主治医以外に様々なスタッフに支えられているという気づきがあったようだ」と語った。

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