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レポート

2012/10/31

九州大学泌尿器科学分野講師・診療准教授の立神勝則氏に聞く

腎がんの手術は進歩し続けています

──がんナビサブサイト「もっと知る腎がん」より

 世界中の泌尿器科医が集まり、議論を交わす国際学会である国際泌尿器科学会総会(SIU:Societe International d’Urologie)が、9月30日から10月4日まで福岡で開催された。九州大学泌尿器科学分野講師・診療准教授の立神勝則氏に、SIUで話題となった腎がん診療の最新動向について聞いた。


 国際泌尿器科学会総会は、腎がん前立腺がん膀胱がんなど泌尿器科系のがんだけでなく、過活動膀胱性機能障害などの泌尿器科領域全般について幅広く議論することを目的としています。今回の総会は私ども九州大学泌尿器科(総会長:九州大学泌尿器科学分野教授 内藤誠二氏)が開催校でした。会場各所で議論、交流が行われ、非常に有意義な総会だったという声を聞くとともに、日本の泌尿器科診療のレベルの高さに称讚が集まり、うれしい限りです。

 実際、総会では多くの話題が議論されており、腎がんにかかわるテーマも数多くありましたが、中でも注目されていたのがロボットを使った腎部分切除術についてでした。

小さな腎がんは腎部分切除術が勧められる

 従来、がんができてしまった腎臓に対しては、すべて切除してしまう、つまり根治的腎摘除術が標準治療でした。そして、お腹を大きく切除する開腹手術で行ってきました。

しかし、近年、条件はありますが、がんができてしまった腎臓をすべて切除してしまうよりも、できるだけ腎臓を残すようにがんだけを部分的に切除する腎部分切除術を行うようになってきています。

 できるだけ腎臓を残すのには理由があります。腎臓そのもの、もしくは腎臓の機能が失われてしまうと、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を発症してしまうリスクが高まることが示されたからです。最近、慢性腎臓病CKD)という概念で普及・啓蒙活動が進められているので、お聞きになったことがあるかもしれません。

 そのため、例え腎がんであっても、できるだけ腎臓を残せないか検討が進められてきたのです。その結果、がんが小さな場合には、腎臓をすべて切除してしまうのではなく、がんだけを切除し、腎臓を生かすようになってきました。これが腎部分切除術です。

 これまでの検討で、T1a(4cm以下)の腎がんに対する腎部分切除術での再発率や5年癌特異的生存率(5年後に癌が原因で亡くなられていない方の割合)は、根治的腎切除術と同等であると報告されています。再発するリスクに差がないならば、できるだけ腎臓を残した方がよいため、初期の小さながんにおいては、腎部分切除術が注目されているのです。最近、エコーやCTなどの検査機器の性能が向上したことで、早期の段階で腎がんが見つかりやすくなったことも背景にあります。なお、腎臓を全てとってしまうと心血管疾患の発症リスクが上がるといっても、再発してしまっては意味がありませんので、再発するリスクが高い状態の腎がんの場合は腎臓を全て摘出することになります。

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