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レポート

2012/9/25

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第11回

歯科衛生士●抗がん剤や放射線治療で起こる口腔関連障害へのケアをサポート

福原麻希=医療ジャーナリスト

●専門的な口の中のケアは治療をスケジュール通り展開させる

 愛知県がんセンター中央病院では、食道がんで手術を受けた患者を対象に、歯科衛生士による専門的な口の中のケアを受けた場合と受けなかった場合の術後の効果について比較検討したことがある。

 これは、2003年1月〜12月までの歯科衛生士による専門的な口腔ケアを実施していない群24人と、2004年10月〜2006年1月まで実施した群27人を比較検討したものだ。口腔ケアを受けた群は手術4日前と1日前に歯科を受診し、歯科医師から歯肉や歯の診察を受けた。次に専門的なケアの必要性の説明を受け、歯科衛生士に機械による歯石の除去や清掃などをしてもらった。日常生活でのセルフケアについての指導も受けた。
 
 その結果、手術4日前より1日前のほうが歯垢の有無(専門用語で「PCR=Plaque Control Record」という)が半分ぐらいまで減少していた。舌の汚れも半分以下だった。

 さらに、専門的なケアを受けなかった群に比べて、受けた群では気管内分泌物の細菌検査の結果、細菌の数も種類も減っていた。術後に発熱が見られた人も前者は7人だったが、後者は4人だった(日本外科感染症学会雑誌6巻3号 2009年)。
 
 細菌数や種類が多い場合、誤嚥性肺炎の原因になることがあり、入院日数が長くなったり死亡率が高まったりする。このように、歯科衛生士による専門的なケアは一定の効果があることがわかっている。

●歯の本数とがんになるリスクの関係は?

 同センター研究所では、「残っている歯の本数とがんになる関係」についても調べたことがあった。これは、がん患者約1万5千人を対象に生活状況や身体状態のアンケート調査をしたもの。その結果、頭頸部がん、食道がん、肺がんの場合、歯が少なくなればなるほど、がんになった人が多く、影響があるとわかった。

 主任研究員の尾瀬功さんはこう言う。「『喫煙とがんのリスク』はよく知られていますが、『歯の本数とがんになる影響』の度合いは、その4倍程度高くなるというイメージです。口の中を清潔しておくことで、歯周病などの歯肉の炎症を予防することができるからです。炎症ができると細胞が正常に分裂せず、ミスが出やすいのでがんを引き起こしやすいと考えられます」

 国立がんセンターが発表する「がんを予防する10カ条」にこの話が入っていないのは、全部のがんに共通する要因ではないからという。口の中の衛生環境が全身の健康につながるといえる。

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