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2012/7/25

卵巣組織凍結も可能な時代へ

乳がん患者の妊孕性温存治療はどこまで可能か

福島安紀=医療ライター

対象は治療で卵巣毒性を受ける危険性のある人のみ
 同病院の場合、卵巣組織凍結、胚凍結などの妊孕性温存治療の対象となるのは、乳がん、ホジキンリンパ腫などで長期生存が見込まれ、化学療法など卵巣毒性のある治療を受ける予定の人である。妊孕性温存治療が受けられる状態かは、本人の希望だけではなく、最終的にがん治療の主治医の判断で決めているそうだ。化学療法を受けない場合でも、治療が終わる年齢を考えると、妊孕性を温存しておきたい人もいるかもしれないが、そういった人は対象にしていないという。あくまで化学療法などで卵巣の機能が失われる危険性のある人の治療の一環という位置づけなのだ。

 また、年齢も重要であり、卵巣組織凍結の対象となるのは40歳くらいまでの人。「乳がんの発症年齢が20代であれば自然妊娠する可能性が高いので、焦って妊孕性温存治療を受ける必要はないでしょう。すでに40代になっている方は、卵巣機能が低下し流産率も高いため、残念ながら、卵巣組織を凍結温存しても、出産できる可能性は低い。化学療法前に妊孕性温存治療を受けるのか、よく考えたほうがよいのは、治療が終わるころには30代後半から40代になるとみられる35歳前後の患者さんです」と鈴木氏は言う。

 気になる費用はすべて自費診療であり、卵巣組織凍結の場合、手術料や2泊3日〜3泊4日の入院料を含めて55万円で、自家移植の際には再度55万円かかる。卵子や胚の凍結は5万2500円で、年間保存料が2万1000円である(費用はすべて2012年7月現在)。

 これだけの費用をかけても、がんが再発したりすれば自家移植はできないといったことも含め、メリット、デメリットをよく理解した上で、妊孕性温存治療を受けるかどうか考える必要がある。

 「忘れてはならないのは、いくら子供がほしくても、がんの患者さんの場合は、あくまでがんの治療が優先だということです。妊孕性温存治療のためにがんの治療の開始を遅らせたり、治療法を変えたりするようなことはすべきではありません。若くしてがんになった患者さんの多くが、がんの再発の不安と共に、子供を産む可能性を失うかもしれないショックや不安を抱えています。そういった悩みを受け止め生殖医療に対する適切な情報提供を行う精神的なサポート体制の構築が急務です」と鈴木氏。

 生殖医療が進んだいま、がん患者に対する妊孕性温存治療がどこまで認められるのか今後議論が必要になりそうだ。

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