このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2012/7/25

卵巣組織凍結も可能な時代へ

乳がん患者の妊孕性温存治療はどこまで可能か

福島安紀=医療ライター

化学療法後半年間は避妊を
 「女性の体には生まれたときに、卵子の元となる原始卵胞が約40万個備わっています。約500個の原始卵胞が約半年かけて成長し、淘汰選択されて1個の卵子が毎月排卵されます。原始卵胞は、35歳で1〜2万個まで減少し、卵巣予備能は10%以下(図1)になります。卵巣予備能は10%以下でも妊娠はできますが、自然妊娠率は30代では25%、40歳を超えるとわずか12%です。40歳を超えると自然妊娠できる確率は低いという現実は、30〜40代の乳がん患者さんが人生設計を考える上で、知っておいてほしいと思います」と鈴木氏は強調する。女性の平均的な閉経年齢は50歳で、それまでは妊娠できるのかと思ってしまうが、40歳以降は卵子の老化の問題もあり、生理があるからといって排卵があるとは限らないわけだ。

図1 年齢による卵巣予備能の低下(出典:W.Hamish B.Wallace et.al.PLoS ONE.2010;5:5)

 そういった現実があるならば、治療後はできるだけ早く子供を作りたいと考える人もいるかもしれない。しかし、卵巣の中では、1個の卵子を排卵するために半年前から準備が始まっており、たとえ、排卵があって妊娠可能だったとしても、化学療法の影響が完全になくなるのは最後の治療から半年後以降になるという。ホルモン療法については、日本乳癌学会の『乳癌診療ガイドライン(1)治療編2011年版』では、「妊娠・出産しても周産期異常や奇形は増えないため、妊娠は安全と考えられる」とある。

 ただ、米国で化学療法を受けたホルモン感受性陽性の早期乳がん患者の月経の有無と生存率との関係をみた研究では、6カ月以上無月経だった患者のほうが、月経があった患者に比べて無再発生存率(PFS)、全期間生存率(OS)ともよかったとの結果が出ている。

 「乳がんはホルモン依存性のがんであり、この研究結果をみると、化学療法やホルモン療法の後、すぐに月経が戻ったからといって喜んでいいかは疑問です。治療後すぐに、排卵誘発剤を使った治療を受けるのも控えたほうがいいでしょう」と鈴木氏は話す。

この記事を友達に伝える印刷用ページ