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2012/5/22

がん研有明病院・遺伝子診療部部長 新井正美氏

遺伝性乳がん卵巣がんのリスク低減切除術 がん研有明病院で開始

 乳がんの一部には遺伝的に発病しやすいタイプがある。こうした患者は乳がんだけではなく、卵巣がんにも罹患しやすいことが知られている。がん研有明病院(東京)遺伝子診療部では、遺伝性乳がんと診断された方に、予防的に卵巣卵管を切除する手術について対策の1つとして紹介し、希望される患者さんには婦人科でこの予防的な外科治療を実施する試みを始めている。遺伝子診療部部長の新井正美氏に話を伺った。(聞き手=小崎丈太郎・日経メディカルCancerReview)


がん研有明病院・遺伝子診療部部長 新井正美氏

――乳がんの治療を受けた患者さんの中には卵巣がんになりやすい患者さんが含まれているそうですが、それはなぜですか?

新井 がんの細胞は正常な細胞の遺伝子が変化して生まれます。乳がんの7〜10%は遺伝的な素因が関与して発症するといわれています。この素因のすべてが解明されているわけではありませんが、今、分かっているのはBRCA1あるいはBRCA2という遺伝子に生まれつき変異があり、そのために乳がんに発症しやすくなる体質です。これらの遺伝子に変異がある場合、乳がんだけではなく卵巣がんにも罹患しやすくなることが分かっており、この体質のことを遺伝性乳がん卵巣がんと総称しています。

 これらの遺伝子は、DNAという2本鎖の遺伝情報を伝える物質に傷がついた時に修復する機能を有しており、生命活動に重要な役割を果たしています。遺伝子は一般に父方と母方由来のものが一対になっており、1つが機能しなくても残りの1つが機能しているので、一般には問題ありません。しかし機能している残りの1つに何らかの異常が生じると、その細胞は正常な機能を営むことができなくなり、がん化に向かいます。海外のデータでは、BRCA1に遺伝子異常がある場合は70歳までに乳癌に罹患するリスクはおおよそ65%、卵巣がんには40%くらいといわれています。一方、BRCA2に変異がある場合も乳がんに45%、卵巣がんには10%程度の罹患リスクがあるとされています(参考:一般の日本人女性が70歳までに乳癌に罹患するリスクは約5%、卵巣がんは0.6%)。

 家族に多くの乳がん、卵巣がんの患者さんがいる全ての方にBRCA1BRCA2の遺伝子変異が確認できるわけではないのですが、第2度近親者までの家系に乳がんや卵巣がんに罹患した方がいる(第2度近親者:祖母、おばなど)これらのがん患者さんの約27%にBRCA1あるいはBRCA2の遺伝子変異が認められています。その結果、こうした遺伝子を持っている乳がん患者さんの場合、乳がんとは別に将来、卵巣がんに罹患するリスクがあり、対策が必要ということになります。

――こうしたBRCA1BRCA2の遺伝子変異はどのように分かるのですか?

新井 BRCA1BRCA2の遺伝子検査を行うことにより変異の有無を調べます。日本ではFALCOという検査会社が検査を受託しています。遺伝子検査を受けるに当たり、まず医療機関にある遺伝カウンセリング外来を受診します。そこで遺伝性乳がんや遺伝子検査の概要を理解してその後の健康管理について担当者と話し合うことが大切です。

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