このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2012/3/14

●インタビュー

小児がんから子どもを守るための世界一斉キャンペーンがスタート

中川原 章氏(千葉県がんセンター センター長)

 去る2月15日は国際小児がんの日。早期発見を促し、将来ある子どもたちの命を小児がんから救おうと、SIOP(国際小児がん学会)とICCCPO(小児がんの子を持つ親の国際連盟)による、第1回世界一斉キャンペーンが開催された。日本でも財団法人がんの子どもを守る会とSIOP-Asiaが中心となり、3月15日まで1カ月にわたるキャンペーンが展開されている。

 SIOP-Asia代表の中川原章氏(千葉県がんセンターセンター長)に、キャンペーンの背景や小児がんを取り巻く世界および日本の現状について語っていただいた。(談話まとめ:今村美都=医療ライター)


千葉県がんセンターセンター長の中川原 章氏

診断すら受けられない途上国の現状を改善するための世界的な小児がん啓発キャンペーン

 小児がんの治癒率は、日本をはじめ先進国では約80%にまで向上しています。しかし、多くの途上国では治療はおろか診断にすら至っておらず、7〜8割の子どもが命を失っているのです。途上国の現状は、皆が医療機関へ行って治療を受けることのできる日本とは全く異なります。パキスタンのイスラマバードに日本の全面援助で作られた小児病院に、1980年代半ばにJICAを通じて出向した経験があります。近くに病院がないため、山奥から何日もかけてやってきた患者が外来にあふれ、診療を何日も待つ姿は今も変わりません。診察を受けたとしても、検査する術もなければ治療する薬もないのです。小児がんとわからないまま亡くなっている子どもたちも途上国にはたくさんいます。

 パキスタンでは私が専門にしている神経芽腫の患者はいないとされていましたが、偶然、神経芽腫の赤ちゃんの手術に立ち合う場面もありました。術後、腫瘍からの出血が止まらず、輸血が必要な状況に陥りましたが、どうしても輸血するお金を払えないと治療を断念する父親の涙を目の当たりにしました。日本から治療薬を送るよう大至急手配しましたが、結局間に合いませんでした。

 このように世界に目を向けると、医療の恩恵を受けられている小児がんの子どもや家族はほんの一部なのです。

 そこで、SIOP(国際小児がん学会)とICCCPO(小児がんの子を持つ親の国際連盟)が連携し、国連やWHO、ユネスコといった国際機関に働きかけて、小児がんを大人のがんと共に国際的な課題、Global Health Agendaにしようという運動が始まりました。こうして、2月15日を国際小児がんの日とし、世界同時プレスリリース配信、世界一斉キャンペーンが開催されるに至ったのです。

 小児がんは、大人のがんと異なり環境因子の影響が少ないため予防は難しく、早期発見が重要です。早期発見と言っても、日本や欧米先進国では詳しい検査が可能ですが、途上国では症状で見つけるしかありません。具体的な症状が出ている段階では、既にがんは進行していることが多いのですが、それでもできるだけ早く子どもの異変に気付き、早期発見につなげることが大切です。小児がんは早期発見で治癒率が上がります。例えば普段から時々お腹を触って、おかしいと思ったらすぐに病院へ連れていくといったことが必要でしょう。

この記事を友達に伝える印刷用ページ