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レポート

2012/3/16

患者会の活用法

小山千穂=チャンゴ・ジャパン

自分と同じがんになったことがある人に、治療のことや日常生活での不安や悩みを相談してみたいと思っても、周りに適切な人がいるわけではない・・・。そんなときに、乳がん体験者やその家族が集う乳がん患者会はどれだけ頼りになるのだろうか?


 自分ががんと診断されたとき、がんの治療を受けるとき、がんの治療を受けた後、などさまざまな段階で、同じがん経験者に話を聞きたくなることがあるかもしれない。患者会の活用は経験者などの話を聞く機会が得られる方法の1つだ。

 しかし、「誰でも患者会に入会できる?」「どのようなアドバイスが受けられる?」「多々ある患者会から、自分にぴったりの会を選ぶには?」、と思い悩むこともあるだろう。乳房温存術を受けた患者が集まり1989年に設立されたイデアフォー世話人の中澤幾子氏、長野県松本市を拠点に活動するラ・ヴィアン・ローズ理事長の重信みどり氏、佐久総合病院の後援のもと、地域に密着した活動を続けるわたげ会事務局の上原壽美子氏の3人に聞いた。

入会前にも気軽に相談を


「イデアフォー」世話人の中澤幾子氏

 イデアフォーが月1回開催する交流会「おしゃべりサロン」は、会員以外も自由に参加できる。乳がんの確定診断がつく前の人からは「検査結果をどう受け止めるべきか、医師が言うことを鵜呑みにしていいのか、検査を受けたところで治療を受けなければいけないのか・・・といった相談が寄せられる」と中澤氏。患者会のいいところは、「いろんな治療の段階にいる先輩たちがアドバイスできるということ」(中澤氏)。

 ただし答えに苦慮する相談も多いという。重信氏は「どこの病院がいいか、どの医師がいいかという電話相談が最も多い。県下のいろいろな病院で治療を受けた会員がいるので、なんとなく病院の様子は分かるが、“私にはよかったとしても、あなたは違うかもしれないし、そういうことは申し上げられない”と答える」という。


「自分で治療法を選べない」――。患者会の助言は?

「わたげ会」事務局の上原壽美子氏

 治療方針についての相談も多いが、「患者会は、医療には立ち入らないことを原則に活動している。わたげ会の場合、多くの会合に佐久総合病院の医師や看護師が同席しているので、医療者に相談してもらうようにしている」と上原氏。3つの会いずれも、相談者が欲しい情報、正しい情報にたどり着けるようにサポートするのが患者会の役割、という立ち位置だ。「“私は(乳房を)全部切ったから再発しないわ”などと言う人もいて・・・。少し前に相談していただけたら、受ける治療も違ったのではないかと、言葉にはしないが、心の中で思うこともある」と上原氏は語った。

 いざ治療、という段階で多いのは、「医師から治療法の選択肢を示されたが、どれを選べばよいのか分からない」という相談だ。そんなとき中澤氏は「“自分で選びなさい”と提示された以上、どれも遜色ない、どの治療法をとっても生存率に違いはないということ、と考えられると思う。では何が違うのか。乳房を失いたくない、病気を知られずに仕事を続けたいから放射線治療は避けたい・・・など、あとは自身の人生観や、生活の中でどれが一番自分に合っているかを考えて選ぶしかない。それは本人しか決められないこと、などと話す」という。

「ラ・ヴィアン・ローズ」理事長の重信みどり氏

 治療法の選択に際しては、「医師が話す治療方針が理解できる程度の、最低限の勉強は必要」(重信氏)とも。ラ・ヴィアン・ローズでは、乳がん関連の書籍の貸し出しなども行っている。

再発後の患者のニーズにも対応

 あるとき、わたげ会の総会で「私はここにいる皆さんとは違うんですよね」とつぶやく再発患者がいた。同じ乳がん患者でも、初発の人と再発した人では、心の持ちようも悩みも異なる。再発した人が思いの丈を語れるようにと、再発患者とその家族を対象に交流会を行う患者会も増えているようだ。イデアフォーの「再発おしゃべりサロン」では「再発が分かったばかりという参加者が、“私は骨転移が見つかってから、もう10年”“肺に転移しているけど、バックパック一つでインドに旅行してきた”などという生の声を聞くとものすごく元気になり、希望が持てるようになる」(中澤氏)。

佐久総合病院乳がん看護認定看護師の渡邉純子氏

 佐久総合病院乳がん看護認定看護師の渡邉純子氏は「患者会でこうした情報提供をしていただけることは、我々医療者にしてみても、非常にありがたいこと。患者と話をするなかで、サロンに参加したほうがいいのでは、若いからヤングサロンはどうかな、と思うようなときには、言葉添えをしている。参加するかどうかは本人の意思だが、このような会があることをお知らせするのは医療者の役割」と話した。

自分にぴったりの患者会を選ぶには

 全国には多数の患者会がある。「例えば、治療法が自分では決められない人に、“自分で決めるべきでしょう”と助言する傾向があるところもあれば、“先生のおっしゃることを聞くべきでは”と言うところも。医師の言うとおりにしたら?と言われてほっとするような人は、後者の会があっているかもしれない。組織のあり方も違う。おっかさんタイプの会長さんが、みんなを包み込んでくれるようなところもあるし、顧問の医師や看護師がいたり、いなかったり。私たちのイデアフォーのように会長は置かず合議制で何でも決める会もある」と中澤氏。

 まずは交流会や講演会に参加し、会の雰囲気を肌で感じたうえで、どの会に入るかを決めても遅くはない。


三つの患者会の概要は下記の通り。

イデアフォー
日本における乳房温存率が5%に満たなかった1989年に、乳房温存術を受けた人たちで設立。会員数約450人。詳細はこちら。http://www.ideafour.org/



NPO法人ラ・ヴィアン・ローズ
2001年発足、2007年にNPO法人格を取得。長野県松本市を中心に活動。会員数約70人。詳細はこちら。http://lavieen2001.net/



わたげ会
佐久総合病院で治療を受けていた患者が1998年に設立。企画・運営は患者が中心で、同院は協力と後援。会員数約130人。詳細はこちら。http://pink.ap.teacup.com/watage/




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