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2012/2/9

代替医療との付き合い方

小山千穂=チャンゴ・ジャパン

 「少しでもがんが良くなれば」との思いから、健康食品や民間療法を試すがん患者、そしてこれらをすすめる患者の家族や知人は少なくない。患者は、これらの代替医療をどうとらえ、どのように付き合っていくべきなのか。


兵庫県立加古川医療センター乳腺外科部長の佐古田洋子氏

 兵庫県立加古川医療センターは、2011年1月、乳がん診療に関る医療スタッフの情報共有とレベルアップを目的とした会議「ブレストミーティング」を発足させた。

 「まさにこれが、チーム医療でより良い診療ができるよう、患者さんをサポートしていく始まり」と同センター乳腺外科部長の佐古田洋子氏。そして、チーム医療では、患者と医療スタッフの円滑なコミュニケーションが重要視される。しかし、「試している代替医療のことを、医師には話してくれないことが多い」(佐古田氏)という問題点がある。

がん治療は不確実なもの

 「同じ治療をしても治る人と治らない人がいる。効くかどうかはやってみなくては分からない。治ったかどうか、10年くらい経過しないと分からない。がん治療は不確実なものです」──。兵庫県立加古川医療センター乳腺外科部長の石川泰氏はいう。

兵庫県立加古川医療センター乳腺外科部長の石川泰氏

 では、医師らは何を拠り所に日々の診療を行っているのか。それは「標準治療」だ。標準治療とは、信頼できる科学的根拠(エビデンス)をもとに、現時点で最善であるという世界的な合意が得られた治療法を指す。新しい治療法が標準治療として認められるまでの道のりは長く、何段階もの臨床試験を経て、従来の治療法よりも有効かどうかが検証される。

 それでも個々のケースにおいては、標準治療が必ず効くわけではない。「患者にしてみれば、化学療法は難しそう、副作用が強くて辛そうだと感じることもあるだろう。その点、代替医療は、簡単で取り組みやすいというイメージがある」と石川氏。そうしたイメージが、患者を代替医療に向かわせる大きな要因になっていると考えられる。



プラセボ効果とエビデンスの「格」の違いを知って

 石川氏は、どのような治療法であれ、その効果をみるうえで見逃せない要素としてプラセボ(偽薬)効果があると語る。効く薬だと聞かされて服用すると、有効成分が入っていない偽薬であっても、症状が軽くなったりするというものだ。「プラセボ効果がどの程度影響しているかは患者ごとに異なり、時には臨床試験の結果をゆがめるほど。実際には効果のない治療であっても、試験の結果を見てみると効果があるように見えてしまうこともある」(石川氏)。ほとんどの代替医療では、プラセボ効果の影響を除いたその治療の「真の効果」についての検証が十分ではないと指摘する。

 さらに、エビデンスにも「格」があると石川氏はいう「近所に手術だけで乳がんが治った人がいるから私も抗がん薬は不要では? という患者さんがいる。これは、たまたま再発しにくいタイプの乳がんだった1つのケースに過ぎず、エビデンスとしては一番低いレベル。一方、治療法Aより治療法Bのほうが有効という数千人規模の臨床試験の結果が複数出ていたら、エビデンスレベルは極めて高い。このようにしてエビデンスが積み上げられたものだけが標準治療として認められる」(石川氏)。標準治療はこのように決まっているのに対し、ほとんどの代替医療では、こうした「格」の高い検証がなされていない点が問題だと指摘する。

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