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2012/1/17

がん登録の利点と問題点(上)

法制化を求める声が高まるがん登録の現状

福島安紀=医療ライター

 医療機関に調査員を派遣または郵送で登録票を回収し、がん患者の情報を集めている。患者の予後情報は、保健所の人口動態統計の目的外利用手続きや市区町村の住民登録情報の照会によって入手する。

 自治体の中央登録室では、罹患、予後情報を集め、個人を特定し確認した上で、データベースの登録を行う。登録票は、多くの自治体で紙ベースであり、予後情報の確認も各市区町村宛に郵送で行うなど、IT化の進んだこの時代に原始的で手間のかかる仕組みになっている。

図1 地域がん登録のしくみ(「NPO法人 地域がん登録全国協議会」の資料を参考に作成)

予後調査を拒否する市区町村も
 「地域がん登録事業において、医療機関が国または地方公共団体へ診療情報を提供する場合は、個人情報保護法の『利用目的による制限』および『第三者提供の制限』の適用除外の事例に該当する」。

 地域がん登録に関しては、個人情報保護法の制約は受けない旨、2004年1月に厚労省健康局長通知が出ている。しかし、市区町村によっては、個人情報保護法を理由に患者の予後情報の照会には応じないところもある。

 また、がん登録は居住地を基準に行われるので、例えば埼玉県在住の患者が東京都内など他の都道府県の医療機関で治療を受けた場合には、その医療機関から罹患、治療情報が得られない場合が多い。

 そういった問題を改善するには、がん登録を国の事業と位置づけ、個人情報保護には十分配慮した上で、住民基本台帳が使えるようにするなど、法制化による改善が必要というわけだ。

 欧米では、がん登録で得たデータをもとに政策を立て、がんの死亡率低減に結びつけている。韓国でも2003年に施行されたがん管理法で、がん登録が国の事業として位置付けられた。06年の法改正で個人情報保護法の適用除外になったことで、個人識別番号によるがん登録が進んで精度が格段に上がり、根拠のあるがん対策立案に活用されているという。

 すっかりがん登録後進国になってしまった日本だが、大阪府のようにがん対策推進条例を制定して住基ネットをがん登録に活用し、積極的に地域のがん対策にがん登録を結びつけているところもある。次回は大阪府の事例を紹介する。

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