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レポート

2012/1/10

日本人では40歳代の乳がん検診は有効です

米国とは異なる日本の年代別罹患率

増谷 彩=日経メディカル別冊

 ただし40歳未満に関しては、現在のところ乳がん検診の利益が不利益を上回るとする根拠がない。乳がん検診において若年と言えば、主に50歳未満の40代を指す。30代については、検診の範囲を広げた方が良い、という声もあるが、まだ議論されているところだ。

 遠藤氏は、検診を受けるべき人物像について、「健康な40歳以上の女性は、全員受診することを推奨します。30代については、家族歴を参考にしてほしいと思います。母親や親戚に乳がんを罹患した人が多い場合には、40歳になる前から地域や職場での健康診断、人間ドックなど、チャンスがあれば積極的に受診してほしいと思います。20代に関しては、ゼロとは言えませんがほとんどありませんから、通常は30歳近くなってから受診すればいいのではないかと思います」と語った。

 現在有効とされている検診方法は、マンモグラフィだけだ。これまでの検診の利益・不利益の話も、手段としてマンモグラフィを想定している。ただ、マンモグラフィの感度は、40代で71%と、3割の病変が見逃される可能性が指摘されている。また、不利益のひとつである身体的苦痛もある。

乳がん検診における超音波検診の位置づけ

 そこで近年、痛みや被曝の面で、乳房をX線撮影するマンモグラフィよりも侵襲性が低い超音波による検診法が浮上してきている。特に職域検診などで、若年者が対象の場合に採用されることがあるという。遠藤氏が名古屋市周辺の検診施設のデータを集計したところ、30代では超音波の受診者が多く、40歳以上はマンモグラフィの受診者が多かった。さらに、両方を実施している施設では、40歳から55歳において、マンモグラフィと超音波の感度は同等だったと言う。

 ただし遠藤氏は、「誤解しないでいただきたいのは、痛みや被曝がないからといって、超音波がマンモグラフィよりも優れているわけではない、ということです」と訴える。超音波は、マンモグラフィを補完する、という意味で利用を検討するべきだ、と言う。

表3●乳がん検診におけるマンモグラフィと超音波の特徴

 その理由として遠藤氏は、マンモグラフィと超音波では見えるものが異なる、と解説する。「触診で見つかるような病変を検出していた頃は、マンモグラフィと超音波で検出できるものは同じでした。しかし、今はもっと早期に、病変が小さいうちに発見しようと、検出対象を設定しています。すると、両者が検出する得意・不得意(表3)が分かれてきたのです」(遠藤氏)。

 例えばマンモグラフィは、早期がん、非浸潤がんの検出率が高い。しかし、厚い乳腺の中にある腫瘤を検出するのが不得意だ。超音波は、マンモグラフィが苦手とするこのタイプの病変を、小さい浸潤がんになった頃に、マンモグラフィよりも早く検出できるという。対する超音波は、石灰化や脂肪の中の小さい腫瘤などを検出することが不得意だ。そのため、脂肪が多い乳房のなかに小さい腫瘤があった場合や、石灰化が主体の病変の場合、病変を見つけにくい。このタイプの病変は、マンモグラフィの方が早く検出するという。まさに、補完しあう関係といえる。

 現状は、科学的根拠に基づく「乳癌検診ガイドライン」内でも「超音波による乳癌検診を進められる十分な根拠は現時点ではまだない」とされている。遠藤氏は、「今後、検診にマンモグラフィに加えて超音波が加わるのか、年齢で区切られるのかなどは、まだ全くの未定です。今は、超音波を加えることで乳がん検診の精度が上がるかどうか、検討に入ったところです」と指摘した。

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