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レポート

2012/1/10

日本人では40歳代の乳がん検診は有効です

米国とは異なる日本の年代別罹患率

増谷 彩=日経メディカル別冊

 現在日本では、40歳以上に乳がん検診の受診を推奨している。他方米国では、2009年に米国予防医学専門委員会(USPSTF)が40歳代のマンモグラフィ検診の推奨グレードを「推奨」から「一律には推奨しない」へと改訂し、米国内外で議論が巻き起こった。グレード改訂の理由は、「40代で乳がん検診を受診しても実際にがんの発見による利益より不利益の方が大きい」というものだった。がんを早期に発見するために行われる検診には多くの利益があるはずだが、検診による不利益とはなにか。第19回日本乳癌学会学術総会でも、「BenefitとHarmから見た若年者検診」と銘打ったシンポジウムが開催された。今回は、同シンポジウムの座長も務めた国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市)放射線科部長の遠藤登喜子氏に、こうした議論が起こっている背景と現状について聞いた。


国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市)放射線科部長の遠藤登喜子氏

 「検診の利益・不利益が日本でも活発に議論されるようになったのは、2010年の乳癌検診学会からです。検診をすることで救命効果が期待できる、というのは検診の有用性を考える上で必須なわけですが、ではこの効果を上げるために、どれだけの不利益があるかということを天秤にかけて考えましょう、という段階に進んできたのです」(遠藤氏)。

 USPSTFは、検診の不利益として、(1)経済的損失、(2)検査の結果がんではなかった場合でも精神的苦痛を受けること、(3)放射線被曝や、針を刺したり組織を採取したりすることによる身体的苦痛、(4)精密検査を行うための医療費の負担増、(5)眠れない、食欲がなくなる、仕事にも行けないといった過敏反応が起きれば社会的活動への損失が生まれる、といった点を挙げる。また、40代1000人を検診した場合に、不利益の1つである偽陽性となる割合が他の年代よりも高いこと、39歳から49歳でみると、乳がんにより死亡する人を1人回避するために必要なマンモグラフィ検診必要対象者数が、50歳から69歳に比べて高いことなど、検診によって得られる利益が小さいとする米国Breast Cancer Surveillance Consortium (BCSC)のデータを受け、推奨グレードを改訂したという(表1)。この推奨グレードについては、米国内でも強い反対意見が出されたが、変更されることはなく現在に至っている。

表1●検診者1000人当たりの年代別偽陽性率(出典:Annals of Internal Medicine 2009,151;727-737)

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