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レポート

2012/1/25

乳がんセミナーレポート

「乳がん 共にたたかい、共に生きる」

まとめ 小山千穂=チャンゴ・ジャパン

 乳がん患者やその家族をはじめ、乳がんに関心がある一般を対象とする市民セミナー「乳がん 共にたたかい、共に生きる 2011」が、2011年11月3日、東京・町田で開催された。このセミナーから、乳がんの治療やケアにあたる専門職や乳がん体験者の講演、パネルディスカッションから、患者や家族の疑問や悩みを解決するための糸口を紹介したい。


東芝林間病院乳腺外科部長の竹中晴幸氏

 セミナーでは、まず第一部として、乳腺外科の医師、乳がん体験者、音楽療法士の3人が講演した。

外科医が治療から身を引く時代が来るかも

 多い日は150人もの乳がん患者を診療するという東芝林間病院乳腺外科部長の竹中晴幸氏は、「乳がんの標準治療」をテーマに講演した。

 30年ほど前までは、乳がんと分かれば早期であっても「手術で大きくとる」のが主流だった。しかし今は、乳がんのタイプ(サブタイプ分類)を重視する治療に移行している。中でも乳がんのタイプを見極める一つの指標、Ki67インデックスについては「悪性度を評価する上で重要。Ki67はたんぱく質の一種で、体を構成する細胞が盛んに分裂する活動期に出てきます。がん細胞は分裂が盛んなので、Ki67の値が高いということは、がんの悪性度が高いということ。2011年3月に開催された、世界の乳がん診療の方向性を決める重要な会議であるザンクトガレン国際会議においても、Ki67が多いか少ないかを乳がんのタイプ分類において重要な評価項目に位置付けました」と竹中氏。

 化学療法、内分泌療法、放射線療法の進歩を背景に、手術はどんどん縮小傾向にあること、がん遺伝子の解析が進み、抗HER2薬のような分子標的薬の開発もますます進歩する一方であることに触れ、竹中氏は「私のような外科医が治療から身を引く時代が来ると信じています」と、乳がん治療の展望を示した。

乳がん経験者の上原洋子氏

治療前の生活に、なるべく早く戻して

 約10年前、47歳で右乳房にがんが見つかり、その1年後に左乳房もがんに。両方の乳房を失い、そして両胸同時再建という道を選んだ乳がん経験者の上原洋子氏は「私はラッキーな乳がん患者だったかもしれない」と語る。検診で早期発見できたこと、自分で決断し、納得のいく治療を受けられたこと、そして今の日常生活に支障がないことをその理由に挙げた。

 「リンパ節を切除したため腕や脇にも違和感がありました。でも薬は抗ホルモン薬をのむだけ。なるべく早く普通の生活を取り戻すのがいいと思いました」と上原氏。

 薬物療法の影響で月経は止まり、更年期障害のような症状もなかったわけではない。しかし「これは乳がんにならなくとも、やがては多くの女性が経験すること。薬物療法の影響で体重も5kg増えましたが、治療が終わって半年で元に戻りました。あれこれとあまり悩まず、気兼ねなくおしゃべりできる乳がん友達も出来たので、気持ちも楽に」と上原氏は振り返る。

日本終末期・緩和ケア臨床音楽療法士連絡会代表の新倉晶子氏

患者の不安に寄り添う音楽療法

 痛みや悩みを抱える患者の心をケアする方法の一つに、音楽療法がある。「音楽によって、患者さんやご家族に寄り添い、心理的・精神的ケアを行いたいと日々臨んでいる」と日本終末期・緩和ケア臨床音楽療法士連絡会代表の新倉晶子氏。

 音楽療法は、音楽療法士が患者のベッドサイドや患者たちが集まる場所で、「少しでも気持ちを和らげ、心地よくなれる“今”を、音楽を通してサポートする方法の一つ」(新倉氏)。例えば、患者のリクエストする曲を音楽療法士が歌ったり、患者と一緒に歌ったり、楽器を使って演奏や簡単な合奏を行うことも。セミナー会場で新倉氏は、音楽療法に用いるオートハープという楽器を抱え、歌を披露した(写真)。

 音楽療法士は国家資格ではない。日本音楽療法学会の認定資格で、2010年末時点の資格保有者は約2000人。医療保険や介護保険の対象ではないため、保険点数がつかないこともあり、「普及はまだこれから」(新倉氏)というのが現状だ。

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