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レポート

2011/12/20

乳がん、再発の不安を乗り越えてVol.2

新薬登場で変わる再発乳がん治療

生存期間も年々延長

小山千穂=チャンゴ・ジャパン

 再発(遠隔転移)した乳がんの治療法は多様だ。どの薬剤をどのような順番で使っていくか、それは「専門医の腕の見せ所」とも。単独で全生存期間(OS)を3カ月延長する抗がん薬も登場するなど、使える薬剤も増えている。今後、再発乳がん治療はどのように変わっていくのか。二人の専門医、浜松オンコロジーセンターのセンター長の渡辺亨氏と、愛知県がんセンター中央病院乳腺科部部長の岩田広治氏に聞いた。


浜松オンコロジーセンターのセンター長の渡辺亨氏

 初発乳がん治療の場合、たとえば「閉経後のホルモン陽性ならアロマターゼ阻害薬」「HER2陽性ならトラスツズマブ」「乳房温存術後は放射線療法」――など、治療の選択肢はある程度絞られている。がんの特性や患者の社会的状況などを加味して医師が提示する選択肢の中から、「患者自身が治療法を選び、医師に“この治療法で”と発注をかければいい」と渡辺氏。

 しかし再発後の治療は、はるかに複雑だ。

効かなくなったら「次はこれ」と薬剤を順次使っていく
 再発がんの治療は薬物療法が基本。再発したがんの特性を細かく調べたうえで、差し迫った生命の危機はないか、初発時にどのような治療を行ったか、副作用に耐えられる状態か――などを考慮のうえ薬剤が選択される。

 数々の臨床試験の結果から、一次治療にはこの系統の薬、二次治療は……といった大枠のセオリーはあるものの、選択肢は多岐にわたる。また、単剤がいいか併用がいいかなども、患者の状態ごとの判断となる。単剤よりも併用が優れているかと言うと、必ずしもそうではない。例えば、抗がん薬を2剤使えばその分毒性も強くなり、患者の体に負担をかけてしまう。それなのに生存期間が長くならなかったという臨床試験結果もある。特に二次治療や三次治療では、単剤を順次投与することが有用と考えられている。

専門医は野球の監督 采配次第で患者の予後も変わる
 このような状況下で、患者自身が治療法を選ぶのはなかなか難しいと言えるだろう。渡辺氏と岩田氏は「再発後の治療こそ、専門医の腕の見せ所」と口を揃える。

 奇しくも二人とも、再発後の患者を診る専門医を野球の監督にたとえる。「バッター(がん細胞)の心理を読んで、手持ちのピッチャー(薬剤)を、どんな順番で使うのが最善かを考えて行く」と岩田氏。先発、中継ぎ、抑えの投手……と、状況に応じた采配を振るうのが監督の仕事。監督の采配に委ねられる部分は、初発の治療に比べて大きくなる、というわけだ。

全生存期間が3カ月延長する新薬登場
 新薬も次々に登場している。その1つが、2011年6月に日本で使えるようになった抗がん薬のエリブリン(商品名「ハラベン」)だ。アントラサイクリン系やタキサン系の薬剤を含む治療をすでに受けた再発乳がん患者を対象に行った臨床試験によると、エリブリンを単独で使った場合のOSは13.2カ月、エリブリン以外の薬剤を主治医が選択して治療した場合は同10.5カ月という結果が報告された。

 単剤でOSが約3カ月も延びるというのは、これまでの薬剤では得られなかった良い成績だ。エリブリンは点滴薬だが、点滴前の投薬や特別な機材(ルート)も不要で、点滴の所用時間が2〜5分と短いのも利点とされる。

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