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レポート

2011/12/13

乳がん、再発の不安を乗り越えて Vol.1

「再発を早く見つけても予後は変わらない」は本当か

小山千穂=チャンゴ・ジャパン

8割の患者が検査を希望 根強い「早期発見神話」
 こうしたデメリットがあるにも関らず、実際は、多くの施設で再発の有無を確認するための定期検査が行われている。石川県立中央病院では2009年、乳がん術後患者111人を対象にアンケート調査を行った。

石川県立中央病院乳腺・内分泌外科診療部長の吉野裕司氏

 「術後の定期検査によって再発を早く発見しても治療成績は向上しない」と文書で説明したうえで、定期検査を希望するかを聞いたところ、90人(81.1%)が検査を希望した。その理由は、「再発が不安、検査を受けると安心する」が30人、「再発早期発見」が15人、「第2がん早期発見」が12人など。調査を実施した同院乳腺・内分泌外科診療部長の吉野裕司氏は、「“そうはいっても早く見つけたほうがいいに決まっている”という早期発見神話がある」と分析する。

 また、「定期検査を行うことで今年も再発がなかったですね、良かったですねと患者さんと一緒に喜べるのもうれしい」(吉野氏)というのも医師の本音のようだ。とはいえ今後、科学的根拠のない検査を健康保険の対象にすべきか、という議論が出てくる可能性も指摘されている。

定期検査は有効か 日本で比較試験がスタート
 再発の早期発見に臨床的な意味があるかどうかについては、実は医師の間でも議論があるようだ。乳がんの治療は日進月歩。イタリアで前述の大規模試験が行われた1990年代は、いまや専門医なら知らない人はいないサブタイプ分類(乳がんにはいくつかのタイプがあり、タイプに応じた治療を行う)のこともよく分かっておらず、使える抗がん薬も数剤しかなかった。

 再発の早期発見は、生存期間を延ばすのではなく、「再発後」としてカウントする日数を増やすに過ぎない。つまり寿命は“前が”延びるだけ、リードタイムバイアスと考えられる──という結論になるのは当然だろう。

 岩田氏は、「そのころと今とでは、時代背景も、使える“武器”も違う。定期検査に意味がないとはいいきれないと思っている医師も多い」と話す。しかし、イタリアでの試験以降、「定期検査の有用性を検討した試験は1つもない」(岩田氏)。そこで日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、国内数千人の患者を対象とする比較試験を2012年度から行う予定という。「5年後くらいには結果が見えてくるのではないか」と試験の代表も務める岩田氏。

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