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レポート

2011/12/13

乳がん、再発の不安を乗り越えて Vol.1

「再発を早く見つけても予後は変わらない」は本当か

小山千穂=チャンゴ・ジャパン

 乳がんの再発は、早期に発見しても予後は変わらないとうエビデンスがある。しかし治療の現場では、再発の発見を目的に、骨シンチグラフィやCTなどを用いた検査が定期的に行われているのも事実。これらの検査は本当に必要なのだろうか。今、その有用性を確かめるための臨床試験も走り出そうとしている。

※本シリーズは、3回連載でお届けします。


 乳がん経験者の約30%に再発(遠隔転移を含む)が起こる。手術、放射線療法、薬物療法といった一通りの初期治療を終えて5年、10年経過してからの再発も多いため、乳がん経験者は長い間再発の不安を抱えて生きて行くことになる。

 初発の乳がん治療を経験し、早期発見・早期治療の大切さが身にしみているだけに「これからは定期的に検査を受けて、もしも再発が見つかったら早く治療したい」と思っている人がほとんどではないだろうか。ところが実は、初発と再発とでは状況が大きく異なる。再発の中でも、乳房に再発したものや対側の乳房に発生したもの、初発の腫瘍の取り残しが大きくなってきたような一部の局所再発については、再び手術によって切除することができる可能性も高く、これらの再発は早期に発見することが大切となる。しかし、他臓器に転移・再発したがんについては、再発を早く見つけて治療しても、症状が出てから治療を開始しても治療成績が上がるわけではない。

 イタリアで行われた2つの大規模試験では、初発の乳がんの術後患者に対し、再発の発見を目的に骨シンチグラフィ、肝臓超音波検査、血液検査、胸部X線撮影などを定期的に行った場合と、これらを行わない場合とで、予後に差がないことが確認されている(JAMA;271,1587-92,1994と同号1593-7)。日本乳癌学会の『乳癌診療ガイドライン』でも、初期治療後にこれらの検査を定期的に行うのは推奨グレードC2、「実施することは基本的に勧められない」としている。

愛知県がんセンター中央病院乳腺科部部長の岩田広治氏

再発の“発見”による心理的負担 偽陽性、医療被曝の問題も
 再発の早期発見についてのデメリットも指摘される。「再発した」という心理的な負担を抱える期間が長くなる可能性があり、また症状がないのに何らかの治療を行うことになれば、肉体的・経済的な負担も増やしてしまう。本当は再発ではないのに再発と判断される偽陽性も懸念される。例えば、「骨シンチグラフィで異常が見つかっても偽陽性が多い」と話すのは、愛知県がんセンター中央病院乳腺科部部長の岩田広治氏。

 また、胸部X線検査や胸腹部のCT検査を受ければ、少なからず放射線被爆を受ける。検査による医療被曝に神経質になり過ぎる必要はないが、『乳癌診療ガイドライン』によると、「通常の医療被曝など、低線量の被爆でも乳がん発症リスクを増加させることはほぼ確実」とされる。

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