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2011/10/18

乳がん薬物療法時の吐き気・悪心に対する支持療法

必発する抗がん剤の副作用との付き合い方

増谷 彩=日経メディカル別冊

 抗がん剤での治療を行う上で、副作用の問題は避けて通れない。特に、吐き気や気分が悪くなる悪心は、ほとんどの患者に起こる副作用だ。ただし、現在は吐き気や悪心をいたずらに我慢する必要はない。現在は効果の高い薬が登場し、吐き気をずい分抑えられるようになった。今回は、副作用を抑えるために利用する制吐剤の処方など、抗がん剤治療時の支持療法について、京都大学大学院医学研究科標的治療腫瘍学講座特定准教授の佐治重衡氏に聞いた。


京都大学標的治療腫瘍学講座特定准教授の佐治重衡氏

 抗がん剤の副作用は、薬剤の種類による違いや個人差などもあるが、ほとんど全ての人に起こる。そのうちの1つに、気持ち悪い、吐き気を催すといった悪心・嘔吐がある。「制吐薬を処方されている場合には、自分の処方されている制吐薬の性質や処方を知っておくとよいでしょう。もし吐き気が強かった場合に、別の種類の制吐薬を追加・変更してもらう、あるいは補助薬を処方してもらう、といった、先生へのお願いの仕方が分かるからです」――。京都大学大学院医学研究科標的治療腫瘍学講座特定准教授の佐治重衡氏はこう語る。

 抗がん剤による副作用出現のタイミングは、副作用の種類によって異なる。まず、抗がん剤を投与した当日に問題となるのは、薬剤に対するアレルギーといった薬剤が体に合わなかった場合の副作用と吐き気などだ。アレルギーが出てしまうかどうかは、投与前に検査することができず、実際に投与するまで判断できない。そのため、病室はもちろん、外来化学療法室でも看護師などが注意深く見守っている。

 投与の翌日以降からは、全身倦怠感や食欲不振、悪心、吐き気、下痢、便秘などが強くなってくる。そして、1週間が過ぎたあたりからは、口内炎や血液毒性が現れる。ただし、白血球数の減少や、血小板の減少などの血液毒性は、通常本人が自覚することはできない。1カ月以降になると、肝機能障害、腎機能障害、脱毛などが発生することがある。これ以外にも、しびれやむくみなどが起こる薬剤もある。

 一般的な抗がん剤治療で最も出現が多いのが悪心、吐き気だ。「吐き気は、うまく抑えられれば2、3日で収まりますが、中には1週間以上続いてしまう人もいます。悪心、吐き気、全身倦怠感といった副作用は、現れない方が珍しいので、現れる前提で対処しながら治療を受けてほしいと思います」(佐治氏)。

 ただし、吐き気や悪心をいたずらに我慢する必要はない。現在は効果の高い薬が登場し、吐き気をずい分抑えられるようになった。

 日本癌治療学会が作成した「制吐薬適正使用ガイドライン」に記載されている注射抗がん剤の催吐性リスク分類によれば、催吐のリスクは以下に分類される。91%以上が吐き気を発現する高度、30%から90%の中等度、10%から30%の軽度、10%未満の最小度の4つだ。乳がんの治療で頻繁に使用される抗がん剤の多くは、中等度以上のリスクを持つ。ドセタキセルやパクリタキセルは軽度に分類されるが、これらの薬剤を他の抗がん剤と組み合わせて使うこともある。手術前後に使用される抗がん剤のレジメン(薬剤の組み合わせ)を見ると、多くが高・中等度リスクに分類される(図1)。

図1●抗がん剤ごとの催吐リスク

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