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レポート

2011/8/2

卵巣がんや乳がんにPARP阻害薬〜開発進む新機序の分子標的薬

小板橋律子=日経メディカル

 DNA修復に異常を来した細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する新規分子標的薬ががん専門医の注目を集めている。卵巣がんや乳がんを対象とした第2相試験で良好な成績が得られている。



「PARP阻害薬のオラパリブが新たな卵巣がん治療薬となることを期待している」と話す国立がん研究センター中央病院の勝俣範之氏。

 「PARP阻害薬のオラパリブ(olaparib)が新たな卵巣がん治療薬となることを大いに期待している」と語るのは、国立がん研究センター中央病院乳腺科・腫瘍内科医長の勝俣範之氏。

 PARP(poly[ADP]-ribosepolymerase)阻害薬とは、遺伝性乳がんや卵巣がんの原因であるBRCA1/2遺伝子の機能不全によりがん化した細胞に対して、特異的に細胞死を誘導することを目的に開発が進められている分子標的薬だ。

 現在、乳がん患者の5〜10%、卵巣がん患者の10〜15%が遺伝子変異を原因とする遺伝性腫瘍と考えられている。その原因遺伝子として特に研究が進んでいるのがBRCA1/2遺伝子だ。

 欧米では、既にこれらの遺伝子検査が普及し、遺伝子検査で変異があることが確認された場合には予防的な治療が選択肢の一つとなっている。日本でも患者の希望に応えるため、遺伝子検査や予防的な治療を普及させようという動きが活発になってきている(2010.11.2「遺伝子検査と継続的な検診はセットで行うべき」2011.1.6「遺伝子検査の1番の目的は血縁者へのアプローチ」参照)。

 細胞のデオキシリボ核酸(DNA)損傷は、PARPというDNAの1重鎖を修復する遺伝子の働きにより修正されている。何らかの原因でPARPが機能しない場合でも、2重鎖DNAを修復するBRCA1/2遺伝子により、DNA損傷は修復される。DNA修復は2種類の修復機能により守られているわけだ。

 一方、BRCA1/2が機能しない細胞に、このPARPの機能を阻害するPARP阻害薬を投与すると、DNA修復機能が2種類とも働かなくなる。その結果、「合成致死」と呼ばれる細胞死が誘導されると考えられている(図1)。

図1 PARP阻害薬による抗腫瘍効果の発現メカニズム(勝俣氏による、一部改変)
1本鎖DNA切断を修復するPARPの機能を阻害するPARP阻害薬を投与すると、BRCA1/2遺伝子が機能せず、相同組み換えが欠損した細胞では、DNA損傷が修復されなくなり、合成致死と呼ばれる細胞死が誘導される。

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