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レポート

2011/7/12

胃がんの縮小手術を可能にするセンチネルリンパ節生検

小板橋律子=日経メディカル

 胃がん治療で胃を切除する際、転移への危惧から、ある程度広めに切除することが一般的だ。この胃がんに、悪性黒色腫や乳がんの領域で保険診療として実施されているセンチネルリンパ節生検を適用することで、標準的な切除範囲よりも狭い範囲を切除する縮小手術が可能になりそうだ。先進医療として胃がんを対象にセンチネルリンパ節生検を実施し、その結果に基づく腹腔鏡下の縮小手術を行っている慶應義塾大学病院(新宿区)の竹内裕也氏に、現状を聞いた。


 「胃がん患者さんの希望がある場合には、センチネルリンパ節生検の結果に基づく腹腔鏡下の縮小手術を実施している」と語るのは、慶應義塾大学病院外科専任講師の竹内裕也氏。腹腔鏡を用いた胃切除術にセンチネルリンパ節生検を組み合わせ、センチネルリンパ節に転移が無いことを確認した場合には、標準的な切除範囲よりも狭い範囲を切除する縮小手術を実施しているという。

 縮小手術により、胃の切除後に生じやすいダンピング症候群(冷や汗、動悸、めまい、下痢など)などの後遺症の減少や、患者の生活の質(QOL)の維持につながると期待されている。

 センチネルリンパ節とは、がんの転移が最初に生じるリンパ節。がんは、主にリンパ液の流れに沿って転移するため、センチネルリンパ節にがんの転移が無いことが確認できれば、それ以降のリンパ節へも転移していないと判断される。生検結果の利用により、これまで転移の危惧から広めに切除していた切除範囲の縮小・適正化が可能になる。

図1 センチネルリンパ節生検の結果で標準的手術か縮小手術かを決める

 センチネルリンパ節生検は既に、悪性黒色腫や乳がんの領域で保険診療として実施されている。胃がん領域におけるセンチネルリンパ節生検は保険診療とはなっていないが、早期胃がんを対象に、2008年に先進医療として認められた。現在、先進医療として実施している医療機関は、慶応大病院など12施設だ。

 竹内氏は、「センチネルリンパ節生検の結果に基づいた縮小手術は、まだ、標準的な治療法として認められていない。そのため、患者さんの希望がある場合のみ、倫理委員会の承認を受けた上で実施している」と説明する。実際、同大病院には「縮小手術を希望して来院する患者さんが多い」(同氏)という。

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