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レポート

2011/6/28

地元での治療継続を望む被災地のがん患者にどう対応するか

――岩手・宮城・福島の被災地におけるがん医療の現状と課題

渡辺千鶴=医療ライター

電話相談窓口の案内パンフレットは2万枚印刷。避難所を巡回する保健師を通して配布した地域もある。

 福島県浜通の3次医療圏には、いわき市と相馬市が含まれているが、両市は現在、原発事故の影響により交通網が遮断されたことによって分断されている。この3次医療圏で放射線治療を行える病院はいわき市にしかないため、原発事故が収束するめどがつかない状況では、相馬市にも放射線治療の拠点病院が必要になってくる。石岡氏は「この地域のがん医療の再建は、福島県全域および宮城県南部も含めた広域な医療圏の問題として捉えるべきだ」と主張する。

生活再建を優先する被災患者への社会的サポートが大きな課題に
 「東北地方では、化学療法や放射線治療を必要とする患者をがん診療連携拠点病院に集約していたので、震災によって診療機能が失われると多くの患者が路頭に迷うことになる。震災直後、被災地のがん診療連携拠点病院の中には診療機能を制限されたところも多く、そのような病院の患者が一時、たらい回しになった」と、石岡氏は指摘する。 

 そうした患者の中には、経済的な理由やアクセスの問題から治療を中断している人も少なくないとみる。

 宮城県仙台市の婦人科がん患者団体「カトレアの森」代表の郷内淳子氏も、生活再建を優先し、がん治療を後回しにする被災患者のことを心配する。「がん治療からこぼれ落ちないように費用の面も含めて、被災患者をどのように拾い上げ、サポートしていくのかが今後の大きな課題になってくる」と語る。

 東北がんネットワークは、避難所で暮らすがん患者の支援を目的に電話相談窓口を設置。案内パンフレット(写真)を作成し、行政や保健師を通して避難所のがん患者に配布している。

 一方、治療施設だけでなく検診施設の機能もストップしているため、今後はがんの早期発見にも大きな影響が出てくることが懸念される。東北がんネットワークでは、このような予防分野を含め、がん医療の現状をていねいに調査し、情報を発信することで今後の対策につなげていきたい考えだ。

 被災地においてもほぼ平常どおりの診療を実施する医療機関は増えてきたが、がん医療全体が震災前のレベルに戻るには当分時間がかかりそうだ。被災地のがん患者が、地域の医療機関で安心して継続した治療が受けられるよう、それぞれの地域の実情に応じた早急な対策が望まれる。

※4月30日〜6月15日の取材に基づく内容であり、取材後、状況が変化している可能性もあります。

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