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レポート

2011/6/21

高齢者のがんの治療方針をどう決める?

富田文=日経メディカル別冊編集

アルゴリズムを参考に治療強度を判断

 こうした考えを基に、田村氏は高齢者の治療方針を決めるための「高齢者のがん治療アルゴリズム」を考案した(図1)。

図1 高齢者のがん治療アルゴリズム

 ステップ1では、患者の寿命にがんがどの程度影響するのかを見極める。平均余命(表1)を終える前に、がんによる症状がひどくなり、QOLが悪化したり、がんにより死亡する可能性が高いと予想される場合は「ステップ2」へ、がんによる病的状態が出現する前に余命が尽きると判断されれば支持療法や緩和ケアを選択する。がんによる症状の出現予測は、病期や腫瘍の悪性度、心疾患や糖尿病などの併存症の程度や患者の栄養状態などから判断する。

 ステップ2では、高齢者の機能を医学的、身体的、社会的な面から総合的に評価し、患者がどの程度、治療に耐えられるかを検討する。

 田村氏は、高齢者の機能を総合的に評価する簡単な方法として、日本老年医学会による「高齢者機能評価簡易版CGA7」による判定を勧める(表2)。「高齢者機能評価簡易版CGA7」は、7項目の質問および観察項目から成り、日常診療でも使用しやすい。各項目に対して、質問に答えられない場合や観察して問題がある場合は、右欄の検査をさらに行う。

表2 高齢者機能評価簡易版(CGA7)
各項目の質問に答えられない場合や観察して問題がある場合は、右の検査をさらに行う。

 例えば1つ目の項目では、「外来または診察時や訪問時に、医療者のあいさつを待つかどうか」を観察する。該当しない場合は、意欲の面から治療が難しい可能性があるため、意欲についてさらに詳しい検査を行う。そのほか、ステップ2では、栄養状態や転倒などの治療前の自立性や、介護者や社会的なサポートの有無、治療に対する患者の考え――などについても評価する。

 ステップ2で、問題となる項目が1つもなく、機能的に完全に自立している場合は、標準的ながん治療を行う。また、中等度の障害がある場合でも、その障害の改善に努力し、薬剤の投与量やスケジュール、治療のレジメンの再検討などを行い、できるだけ積極的な治療を行う。

 一方、治療に耐えられないと判断された場合、治療を望まない場合、重大な機能障害や複雑な併存症がある場合は、支持療法や緩和ケアを検討する。

 この考え方は、寿命やがんの進行スピードについて、平均的な値を基準にしているため、患者のがんの進行スピードが通常より早かったり、患者ががん以外の原因で平均余命よりも早く亡くなる可能性もある。しかし、田村氏はインフォームドコンセントを取る際の1つのツールとして「高齢者のがん治療アルゴリズム」を利用して、患者とその家族に話をしているという。「高齢者のがんの治療方針に迷ったら、このアルゴリズムを活用してみてほしい」と田村氏は話している。

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