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レポート

2011/6/14

がん患者の肌トラブル、1位は「かゆみ」、2位は「乾燥」

看護師が考える患者の肌ケアに対する意識調査から(2011.6.15訂正)

伊藤左知子=医療ライター

がん患者に保湿化粧品を使用した試験の結果を発表する湘南記念病院かまくら乳がんセンターセンター長の土井卓子氏

 土井氏は、乳がんもしくは甲状腺がんによって手術、放射線治療、化学療法を実施した後、傷跡を患者本人が保湿化粧品でケアした場合に生じる、肌と気持ちの変化を追う使用経験試験を実施した。

 試験は乳がん、甲状腺がんの33例を対象に実施されたが、東日本大震災の影響により、今回のセミナーではアンケート結果と画像がそろった19例について報告された。治療の内訳は乳房切除術4例、乳房切除術に放射線治療を加えた人が2例、乳房切除術後に筋皮弁再建が1例、乳房温存術が10例、甲状腺切除術が2例だった。年齢は33歳から69歳で、平均年齢は52.6歳。

 保湿化粧品として使用したのは、「バイオイル」(製造販売:南アフリカ・ユニオン-スイス社、輸入代理店:ジャンパール)だ。手術から保湿化粧品使用開始までの期間は2カ月から51カ月で、平均13.8カ月だった。

 実施方法は、手術後の縫合治癒の安定した時期、または術後の放射線治療後、熱傷によるびらん、水泡、皮膚剥離が消失、肌が安定した時期から、3カ月間にわたって患者に毎日、保湿化粧品を塗布してもらった。3カ月後に、アンケートによる患者本人の使用評価と、画像による医師の評価を行った。

 アンケートの結果、3カ月後の縫合創の状態は、77%の患者が「大変満足」「満足」と答えた。具体的な感想は「かゆみがなくなった」「ケロイドが薄くなった」「赤みが取れた」などだった。皮膚の乾燥については患者の93%が満足したと答えた。患者の感想には「かさつきがなくなった」「皮膚が滑らかになった」などが多く、土井氏の見解としては、それに加え「乾性落屑(真皮の毛細血管の障害により出血が起き、表皮にも影響して一部が剥離すること)がなくなった」「毛穴が目立たなくなった」との改善点を上げ、95%が改善したと述べた。

 色素沈着については、患者の77%が満足したと回答したが、土井氏による診察時の評価は68%にとどまった。創部の引きつれ、癒着については、患者の50%が満足したと述べたが、土井氏による診察時の評価は81%で改善が見られたという。

 土井氏は「手術後6カ月以内に使用を開始した人では、創部の引きつれ、ケロイド、癒着が改善された症例が多かったが、手術後何年も経過してから始めた人の場合は、これらの改善はあまり見られなかった。ただし、乾燥の改善はほとんどの例で見られ、いつから始めても効果が得られることが分かった」と報告した。

 また「保湿成分の有効性だけでなく、マッサージ効果による効果も大きい。マッサージすることで、創をいたわり、いとおしむ気持ちがわき、自分を大切にするようになったという意見もある」と心理的な効果があることを説明した。

 最後に土井氏は、「医療者は普段、疾患の治療にしか目が向かないものだが、私は患者の気持ちを支えることも医療者にとって必要なことだと思っている。保湿化粧品を使ってケアすることが、その発端になれば、より温かい医療が生まれるのではないかと思う」とまとめた。
  
  
《訂正》
2011年6月15日に以下を訂正しました。
・第2パラグラフで、「コミュニティメデアを運営する株式会社セス・エム・セス(SMS社)」としておりましたが、正しくは「コミュニティメディアを運営する株式会社エス・エム・エス(SMS社)」でした。

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