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レポート

2011/5/11

「乳がん診療実態調査」から読み解けること

第19回日本乳癌学会学術総会会長 大内憲明氏に聞く(2011.5.23訂正)

 日経ヘルス プルミエ編集部が、乳がんの治療にあたる全国の主な医療機関を対象に、「乳がん診療実態調査」(詳細は「調査の概要」参照)を行った。この調査結果を踏まえて、乳がんの罹患状況や診療体制の問題点、今後の課題などを、2011年9月2〜4日に仙台市で行われる第19回日本乳癌学会学術総会会長の大内憲明氏に聞いた。
 


「患者数はブラックボックスの中。乳がん診療は“見えない敵”との戦いです」と語る大内憲明氏。

 「日本では年間4万〜5万人が乳がんになる」とされていますが、実はこの数字、正確には把握できていないことを、みなさんはご存じでしょうか?

 乳がんに限ったことではなく、がんの罹患者数は、特定の都道府県や市町村を対象に行う「地域がん登録」からの推計値なのです。

 乳がんで亡くなる方の数は、厚生労働省の統計で分かります。残念ながら年々増えていて、現在は年間約1万2000人を数えます。この数をどのようにとらえ、対策を講じるべきか考える上で必要な、乳がんの罹患者数が正確に分からないのが現状です。

 欧米諸国、そしてお隣の韓国においても、罹患者数がリアルタイムに把握できる仕組みがあります。しかし、日本にはそれがありません。我々は、“敵の数”が分からないまま、闘わざるを得ないのです。

 今回の調査(詳細は本文下の「調査の概要」を参照)では、2009年の新規乳がん患者数が5万人以上、手術件数だけを合計しても4万5000人を超えたとのこと。患者数の多い施設ほどアンケートに応じたと考えても、この数は多いですね。年間の乳がん罹患者数は、プラス1万人から1万5000人の、6万人に達している可能性もあります。

マンモ受診率は3割の見込み
早期乳がんの発見が増えた?

 実態が把握できていないのは、罹患者数だけではありません。検診の受診率も正確に把握することが困難な状況にあります。市町村で行うがん検診(地域保健・老人保健事業報告)の受診率には、職域におけるがん検診のデータが反映されないのです。

 日本の場合、乳がんの罹患者数が多いのは40代50代の女性ですが、この年代には働く女性がたくさんいます。一体どのくらいの方が、何年間隔で、どのような検診を受けているのか。その実態は正確にはつかめません。

 市町村で行う、視触診とマンモグラフィの併用によるがん検診の受診率は、2009年度のデータで16.3%。これに職域における検診を加えると、おそらくその2倍程度、約3割の女性が乳がん検診を受けているのではないかと思います。今回の調査結果で乳がんの患者数が増加しているのは、検診によって早期の乳がんがみつかってきたためかもしれません。

おおうち のりあき氏 
東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座腫瘍外科学分野教授。1978年東北大学医学部卒業。84年米国立がん研究所(NCI)研究員、仙台市立病院外科医長を経て99年から現職。乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験「J-START」の研究リーダー。

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