2011/4/4
「患者必携 がんになったら手にとるガイド」(編著:国立がん研究センターがん対策情報センター 発行:学研メディカル秀潤社)が、3月10日に発行された。同書の企画当初から中心的な役割を果たした、国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報提供研究部 医療情報コンテンツ研究室長の渡邊清高氏に、この本の内容やその活用方法を聞いた。
国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報提供研究部 医療情報コンテンツ研究室長 渡邊清高氏
―― どのような内容なのでしょうか。
患者必携は、「がんになったら手にとるガイド」と別冊「わたしの療法手帳」の2冊で構成されています。2010年6月からがん対策情報センターのホームページ上の「がん情報サービス(http://ganjoho.jp/)」で無料で閲覧することができますが、実際に手に取って読んだり書いたりしてみたいといったご要望を多くいただいたことから、この3月に書籍として出版することになりました。
「がんになったら手にとるガイド」には、病気との向き合い方、治療にかかる費用や公的助成・支援の仕組み、相談支援センターやセカンドオピニオンの活用など、がんと診断されて間もない患者さんに必要と考えられる基本的な情報を紹介しています。また、がんという病気についてどんなことを知っておくべきか、治療までに準備しておきたいこと、食事や運動、排泄など療養生活のヒント、さらには、がんの種類別の療養に役立つ情報も掲載しています。
もちろん、この本だけですべての情報が網羅できるわけではありません。この本では、病気の基本的な知識、治療の準備、心構え、情報の集め方、医療者との対話のコツなど、がんと診断された患者さんが具体的な行動をスタートするための手助けになる情報を記しています。
患者必携「がんになったら手にとるガイド」
編著 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
(発行 学研メディカル秀潤社)
価格 1260円(税込み)
ISBN978-4-7809-1036-0
最新の治療や薬剤に関する情報は、更新の頻度が高いので、紙媒体よりもインターネットや対面でお知らせする方が向いています。ですから、より新しい情報や臨床試験などの最新情報は「がん情報サービス」をご覧いただければと考えています。
一方、別冊「わたしの療養手帳」は、患者さんにご自身の気持ち、病気や治療の状況を、書き留めて整理していただくために作りました。病状について分からないことや医師に尋ねたいこと、書籍やインターネットなどで情報を集めて分かったことをメモしたり、医師とのやり取りを記録するといった使い方をされるのもいいと思います。自分の気持ちとうまく向き合うための道具として、手帳を活用していただきたいと考えています。
――作成のきっかけは。
「患者必携」は、2007年4月に施行された「がん対策基本法」に基づき6月に策定された「がん対策推進基本計画」の理念を基に、がんと診断されたすべての患者さんに必要な情報を届けることを目標として作成されました。
具体的には、「がん対策推進基本計画」において、がん医療に関わる情報提供と相談支援の取り組みが施策の1つとして盛り込まれたのです。基本計画では、「がん患者が必要とする情報を取りまとめた『患者必携』を作成してがん診療を行っている医療機関に提供していくこと」、さらに「『患者必携』に含まれる情報がすべての患者さんと家族に届けられるようにすること」が目標に掲げられています。