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レポート

2011/3/15

がんの主治医は患者の仕事の相談支援にも前向き

――厚労省「がんと就労」研究班の調査結果から

福島安紀=医療ライター

 「がんと診断され派遣契約の継続を断られた」「治療を受けながら仕事を続けられるか心配」――。仕事に関する悩みを抱えるがん患者が増えている。そして、その悩みを誰にも相談できず抱え込んでしまう人も少なくない。この状況を、医療者はどう考えているのだろうか。厚生労働省の研究班が、がん専門医を対象とした調査の結果、88%の医師が「患者の仕事に関心がある」と答えていることが明らかになった。


がんと就労研究班研究代表者で獨協医科大学公衆衛生学講座准教授の高橋都氏

 「がんは死に直結する病気というより、長く付き合う慢性病になりつつある。就労に関して切実な悩みを抱えている患者さんも多い。がんと就労に関しては、多様な背景、多様な視点から考える必要がある。そこで就業支援システムの構築について研究することになった」

 厚生労働省の「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究」班(以下、がんと就労研究班)が、2月5日、東京・青山で、公開シンポジウム「がんと就労」を開催した。
 
 シンポジウムの冒頭、同研究班研究代表者で獨協医科大学公衆衛生学講座准教授の高橋都氏は、「がんと就労」研究班発足の背景をそう説明した。

表1 厚生労働省の「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究」班が取り組む研究の目標

(1)わが国のがん患者と家族の就業実態と情報ニーズ、就業の阻害要因の把握
(2)キーパーソンである職場関係者、産業保健担当者、医療関係者の問題意識や支援実態の把握と支援力向上の課題の明確化
(3)患者・家族、職場、産業保健担当者、医療関係者向けの教材と教育カリキュラムの開発、評価

 がんと就労研究班は、2010年度より3カ年計画で研究を進めている。今回の公開シンポは、初年度の研究の成果を発表し、患者や一般市民も含めた様々な関係者から意見を聞いて研究を深め、「がんと就労」に対して議論する場を作るために開催された。研究班として初めてのシンポで、今後も毎年1回開催の予定だ。
 
企業における産業医の支援の実態
 がんの治療で休職した患者が職場に復帰するにあたっては、産業医がキーパーソンになるケースも多い。シンポの中で、産業医科大学産業医実務研修センター助教の立石清一郎氏は、企業の専属産業医にインタビュー調査した結果を発表した。

 調査を行った5人の産業医が勤務する企業では、うつ病などメンタルヘルスの復職プログラムに準じて、がん患者に対しても個人個人の事情に対応した支援が行われていた。休んでいる期間の収入は、傷病手当金の66%に加え、企業自体や互助会、健康保険組合などにより最大95%まで支給している企業もあった。また、がん治療後の“試し出勤”(職場復帰前に、元の職場などに一定期間継続して試験的に出勤すること)や時短勤務のある企業もあり、そうした制度を利用しながら実態に即した産業医の支援が行われていた。

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