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2011/2/1

「子どものワクワクを作る療養環境」を整えるには

がんの子供を守る会と3学会が公開シンポ

福島安紀=医療ライター

 小児がんなど小児慢性疾患で、長期間、家族や友達と離れて入院生活を強いられる子どもたちがいる。様々な制約のある病院の中で、つらさや寂しい気持ちを少しでも軽減し、入院中の子どもをワクワクさせるには―。日本小児血液学会日本小児がん学会日本小児がん看護学会の3学会と財団法人がんの子供を守る会が、2010年12月19日、大阪市で開催した合同の公開シンポジウムで、病院内外で療養環境を楽しく明るくする具体的な工夫が紹介された。


シンポジウムでは、予算不足、感染対策などの様々な障害を乗り越えて子どもたちと親がワクワクする療養環境を作る必要性が強調された。

 「子どものワクワクを作る療養環境」と題されたこの公開シンポジウムでは、大阪府内の病院に勤務する保育士、管理栄養士、府内を中心に活動するボランティア、クリニクラウン(臨床道化師)らが壇上に立ち、それぞれの活動と子どもたちの反応やその効果を紹介した。

 大阪府立母子保健総合医療センターでは、小児部門の7病棟で14人の保育士が勤務し、入院中の子どもたちに遊びを提供している。「楽しい大人」という立場で子どもたちとかかわる中で、子どもたちが病室では見せない表情を見せたり、入院生活に対する本音を保育士に漏らすこともあるという。

 大阪市立総合医療センター栄養部は、食事制限があっても、季節感と家庭的な食事を楽しんでもらおうと、工夫をこらした色彩豊かなメニューを入院中の子どもたちに提供する。化学療法の副作用による食欲不振や味覚の変化などに悩む患者・家族の相談も受けているという。

 一方、大阪市立大学医学部付属病院では、病院を1つの「まち」に見立て、職員や地元のアーティスト、ボランティアの協力でアートプロジェクトなどを展開し、子供も大人もワクワクする空間に変身させている。

闘病中の親子の笑顔が喪失体験の癒やしに
 こうした様々な試みの中で、どこの病院でも比較的簡単に実践できそうなのが、ボランティア活動の導入だ。

 「私たちの活動は、わが子が入院中、子どもと一緒に楽しい時間を過ごしたいとの思いで始まりました。しかし、メンバーの子どもが次々と他界し、活動を始めて半年ほどで病院と縁が切れてしまいました。それでも、『子どもが笑顔で少しでも安心して入院生活が送れたら』『病院とずっとかかわり続けたい』との思いで活動を再開して14年目になります。入院中のお子さんたちは、私たちが病棟へ行くと、『今日は何をするの?』と楽しみに待っていてくれます」

 そう話すのは、大阪府立母子保健総合医療センターで月2回、ボランティア活動をしているスマイルパンプキンの小橋千晶氏だ。病棟では、入院中の子どもたちと、牛乳パックなどの廃材を使ったおもちゃ作り、粘土遊び、プラ板製作などを行う。スマイルパンプキンのメンバーは現在4人で、同センターで子どもが入退院を繰り返す中で知り合い、全員、子どもが他界した体験を持っている。

 小橋氏らは、製作活動以外にも、夏祭り、シャボン玉大会、ミニコンサートを企画したり、看護師主催の運動会を手伝ったりするなど、子どもも親も入院生活を少しでも楽しめるように多彩な活動を展開している。

 病院スタッフ以外の人が訪ねてきて、一緒に工作をしたり遊んだりしている間は、子どもたちが病気や治療を忘れる時間になっているようだ。造血幹細胞移植治療の後、車いすから離れなかった子が、シャボン玉に夢中になるうちに自分で歩き出し、ミニコンサートでは、笑顔が消え口数も少なくなっていた女の子がマイクを持って一緒に次々と歌い出し、明るさを取り戻すきっかけになったこともあった。

 さらに、定期的に病室を訪れるクリニクラウンも、子どもたちにとっては刺激的な存在だ。日本クリニクラウン協会では、2010年に15施設の小児病棟に約200回クリニクラウンを派遣し、約7000人の子どもたちとかかわった。クリニクラウンは、単に子どもを笑顔にするだけではない。子どもたちの発達を促し、自己肯定力や闘病意欲を高めることを手助けする存在だ。同会事務局長兼アーティスティックディレクターの塚原成幸氏は、「入院生活を送っていると、子どもたちは大人びてくるが、クリニクラウンと会うことによって自分らしさや子供らしさを回復できます」とその効用を話す。

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