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レポート

2011/1/21

質の高いがん医療実現には組織の協働が不可欠に

全米がん経験者連合(NCCS)の取り組みに学ぶ

渡辺千鶴=医療ライター

 「まず、呼び掛け人であるNCCSは、会議を招集する役に徹しました。我々はこの活動のリーダーではありません。現在も『33団体の一つ』という位置付けです。次に小規模でもよいので、協働することの意義を理解し、強い意欲を持った団体とスタートします。ここで重要なのは全員が同じ目標に向かって力を合わせるためにも、達成したときに自分の功績だと言わない人物と組むことです。このような人物を探すのはなかなか難しいため、『共通の目標を見付けて声を一つにすることが必要だ』という意識を持つように普段から患者教育を行い、協働できる人物を育てることも大切です」

 実際の会議では、最初に、基本ルールとして大多数の意見を採用することを参加者全員で決めた。そして、まずは各団体が解決したいと考えている共通の課題、例えば就労問題などをテーマに話し合いを始めた。さらに、会議の運営に当たって、中立的な立場の人物(米国議会での立法関係の経験が豊富で、がんに関する公共政策を専門とする弁護士)に、合意形成に向けて深い議論が行われるよう参加者を促すファシリテーターの役割を任せた。

他者との協働から実際の変革につながるものが生まれてくる
 発足当時はわずか6団体だったが、やがて医療政策に影響を及ぼすような成果が出始めると、様々な患者団体が参加を申し込んでくるようになり、現在では33の患者団体が参加するまでに発展した。「今では、この会議から発信するメッセージが、最も重みを持った患者の意見として受け止められています」(セラーズ氏)

 「がん医療の質を向上し、患者中心の医療を実現するには、単独の行動では達成できません。患者、医療者、行政の3者が協力し合うことにより、初めて可能になるのです。意見や立場が異なる者同士の協働は容易なことではありませんが、個々の持てる力を何倍にも増幅し、そこから実際の変革につながるものが生まれてきます。このような協働は、どこかで始めなければならないものです」と、セラーズ氏は言い切る。

 参加から協働へ―。日本のがん医療の現場においても患者参加が進み、様々な場面で患者ならではの視点が欠かせなくなったとき、日本の患者や支援者にも欧米の患者団体のような動きが求められてくるだろう。そして、これからは学会や行政を含め、それぞれの団体や組織がどのように協働していくのか、その在り方も問われてくる。NCCSの取り組みは、その1つのヒントを与えてくれている。

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