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2011/1/21

質の高いがん医療実現には組織の協働が不可欠に

全米がん経験者連合(NCCS)の取り組みに学ぶ

渡辺千鶴=医療ライター

 「『より良い治療やケアは患者参画型である』という考え方は、ずいぶん広まってきました。しかし、全米で行われているかといえば決してそうではありません。患者が専門的な知識を身に付け、主治医と治療法の選択肢について話し合ったり、治療計画を調整したりすることなどを好まない医師もいます。このような現状の中で患者参画型の医療を実現するには、やはり継続して働き掛けていくことが大事です」とセラーズ氏は話す。

第48回日本癌治療学会で患者・支援者向けに開催されたPALランチョンセミナー(日本イーライリリー提供)では、セラーズ氏の講演が行われた。参加した患者・支援者からは、全米がん経験者連合の活動に対する質問が相次いだ。

 日本の医学界でも、乳がん診療ガイドラインの作成の場に患者や経験者が参加したり、日本癌治療学会が患者や支援者に学術集会への参加費を助成したりする動きなどが見られるようになってきたが、患者と医療者が協働する活動はまだ少ない。

 「患者の視点を取り入れ、がん医療の質をさらに高めていくには医学界との協働は不可欠です。我々も患者支援に関心を寄せてくれる医師を見付けることから始めました。チャンスは必ず存在します。例えば、『患者参画型の治療やケアが、がん医療の質を高めることにつながる』という研究を一緒にしませんか、というアプローチでもよいと思います。日本の患者団体のみなさんも、積極的に医師に働き掛けてほしい」と、セラーズ氏は日本においても米国と同様の活動が必要であると訴える。

複数の患者団体が協力するためのポイントとは
 さらにセラーズ氏は、「変革を起こすためには複数のアプローチが必要で、患者団体同士が協働し、医学界や政府に働きかけることも大事だ」と指摘する。

 セラーズ氏によると、患者の権利を擁護するアドボカシーには(1)自分自身、(2)地域コミュニティー、(3)公益といった3つのステージがあるという。これは、患者が自分自身の治療決定の場に参加することからアドボカシーは始まり、やがてサバイバーあるいは支援者となった患者が、地域コミュニティーにおいて自分のがんの経験から学んだことを、他人を助けるために活用するようになる。地域でのアドボカシーを続けることによって公益のアドボカシーに到達し、最終的に国の政策を変えることができるという。「つまり、質の高いがん医療を実現するには、どのステージにおけるアドボカシーも欠かすことはできないのです。アドボカシーを連続的に行うことが重要です」とセラーズ氏は語る。

 このようなアドボカシーの一環として、NCCSは「キャンサー・リーダーシップ・カウンシル」と呼ばれる活動に取り組んでいるという。これは毎月1回、NCCSが33のがん患者団体や学会、研究開発団体の代表者を招き、質の高い医療を実現するための課題や政策提言について話し合う会議である。この活動が始まった背景には、「個々の意見ではなく、患者団体としてまとまった意見を出してほしい」という政府や医学界などからの要望もあったという。

 意見も立場も異なる複数の患者団体にはそれぞれに利害関係があり、同じ目標を目指して行動することは難しい面があるのが現実だ。「我々も最初からうまく行ったわけではない」と語るセラーズ氏は、複数の患者団体が協働するための成功ポイントとして次の点を挙げる。

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