このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2011/1/21

質の高いがん医療実現には組織の協働が不可欠に

全米がん経験者連合(NCCS)の取り組みに学ぶ

渡辺千鶴=医療ライター

 欧米では質の高いがん医療の実現に患者参加が欠かせなくなり、患者ならではの視点を生かすためには、学会や行政に一方的に要求するのではなく、お互いに理解を深め、協働することが重要だとの考え方が広まっている。また、患者団体同士も協働し、声を一つに合わせることによって、より必要な医療政策が早く実現できるともいわれ、患者団体が連合する動きも出ている。

 全米に強い影響力をもつ患者団体の一つである「全米がん経験者連合」(National Coalition for Cancer Survivorship:以下NCCS)では、がん医療の質を高めるために早くから医学界に対して積極的な働き掛けを行ってきた。また、患者団体同士が協働することにも取り組み、政策提言なども行っている。このほど来日した同連合会長のトーマス・セラーズ氏に、協働の意義、そして長年の活動から得た成功のポイントを中心に伺った。




トーマス・セラーズ氏は、両親をがんで亡くし、自身も前立腺がんのサバイバーとして長年にわたりアドボカシー活動を行ってきた。

 患者参加が進んでいる米国では、患者団体とがん医療にかかわる組織(学会、研究開発団体、業界団体、政府など)との協働が盛んに行われている。1986年に設立されたNCCSも、設立間もない時期から医学界に対して積極的な働き掛けを行ってきた。

正しい知識の習得支援を医学界に求めた
 NCCS会長のトーマス・セラーズ氏は、「患者中心の医療を行うには、まず患者自身が正しい知識を身に付けることが重要です。そのためのサポートを医学界に求めたことが、働き掛けの始まりでした」と振り返る。

 一方、医学界においても医療の質に関する研究が進められ、2001年に全米科学アカデミー医学研究所から『Crossing The Quality Chasm』と題する有名なレポートが発表された。「このレポートでは、質の高い医療を構成する要素の中でも、重要な鍵を握るのが患者参画型のケアだと指摘しています」と、セラーズ氏は説明する。

 このレポートをきっかけに、米国では患者が参画することの効果を検証する研究が始まった。そして、患者参画型の治療やケアを実施すると、結果が良好で医療コストも低下するといった研究報告もいくつか出てきている。

様々な学術団体と連携し患者参画型のケア普及に努める
 医学界においてこのような動きが出てくる中、NCCSは全米科学アカデミー医学研究所や米国臨床腫瘍学会と協働し、患者参画型の医療を実現する際の根幹となる「サバイバーシップ(がんとともに生き、がんを乗り越えること)」の概念を定義。さらに、その概念を普及する活動を行ったり、医学研究に協力してその成果を政策提言につなげたりすることなどにも取り組んできた。

この記事を友達に伝える印刷用ページ